アズイル（入間転生）【サンフラワー・メランコリー】 ページ2
名前も知らない人に、一目で惹かれてしまった。
テレビや雑誌をあまり読まない僕には誰か分からなかったけども、他のエキストラの女性は「アスモデウス様よ！」と薄桃色の髪の青年を指さし色めき立った。
アスモデウスさんは、騒ぐ女子の声に気がついたのか、こちらを見るとニコリ、と微笑み軽く手を振った。
撮影も終わり、帰ろうとすると「入間様！」という声が二人しかいない部屋に響いた。
振り向くと、そこにはアスモデウスさんが立っていて、何か気に触る事でもしただろうか？それともミステイクの事を怒っているのだろうか？
一人、百面相をしていると彼は膝を付き
「入間様。お疲れ様です、よろしければ一緒に帰りませんか？いいカフェバーを知っているんです」
そう言って笑う。どうして僕なんかに…そう思っていると、アスモデウスさんはようやく立ち上がり、言った。
「私服で体型をごまかしてるのか分かりませんが、撮影の時に、かなり痩せてると思いまして。もしかしたら…今まであまり食べてこなかったのかと」
過去に、そういった人を見ましたから…と寂しそうに目を伏せる彼。
その厚意に甘え、着いて行くとお洒落なカフェといった雰囲気の店に通される。そこでの料理はどれも美味しくて、久しぶりの食事に中々手が止まらなかった。
アリスさんは僕が食べる姿を終始にこにこしながら眺め、皿が空になるとあれこれと注文した。
「すみません…。こんなにご馳走になって」
「いえ。あぁ…終電の時間過ぎてますね、タクシーを呼びましょうか」
腕に巻き付けた時計を見やり、アスモデウスさんが慌てたように言う。それを止めて、近くに安いネットカフェがあるからと断る。
「ですが…」
「慣れてるので」
あはは、と乾いた笑みを漏らすと彼は、「では」と切り出す。
「私の家に来ませんか。一人暮らしで寂しいと思っていたところなんです、家賃は気にしなくていいですから」
「そこまでしてもらう訳には」
何故、赤の他人にそこまで、と思い、断ろうとすると
「ルームシェアが嫌ならせめて一晩だけでも、お願いです。入間さん」
捨てられた子犬のような目で僕を見るアリスさんに、僕は
「一晩だけなら…」
と頷くことしか出来なかった。
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ラッキー使い魔（魔獣、精霊等出ます）
ケルピー
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作者名：しょくらぁと | 作成日時：2019年12月4日 19時
