幼馴染は臆病で純粋な《吸血鬼》

微睡みの吸血鬼 ページ21

中々起きないな。


30分経っても、起きる気配がない直生…流石にそろそろ起こしても良いだろう、と考えた私は、彼の頰を突く。


…ぷにぷにしてて、柔らかい。



「…直生のくせに、ちょっとムカつく。」



ひたすら柔らかな頰をぷにぷにし続ける、女の私より肌が綺麗とか…悔しいんだけど。



「…寝込み襲うなんて、雪花ちゃんの変態。」



「!?…直生!…お、起きてたの!?」



直生は、まだ少しトロンとした目で「さっき起きた。」と言えば、欠伸をする。


寝起きが悪い彼は、太陽の光を見ると眩しそうに目を細めた。



「…起きたんだけどさ〜…まさか、雪花ちゃんに襲われちゃうのは予想外。」



「そ、それは誤解だから!…ってか、あんたそんな性格だったっけ!?」



さっきから、直生が別の人に見えて仕方ない…ナヨナヨしてて、泣き虫で臆病なのが直生なのに…。



「…まだ、ちょっと眠いからね〜…」



直生は妖艶に笑うと、私の肩を掴めばそのまま抱き寄せた。



「雪花ちゃん、雪花ちゃんは否定してるけど…俺は、雪花ちゃんになら襲われても良いよ?」



耳元で囁くように言われる台詞。


直生の息が、私の耳に掛かって擽ったい。



「……っ…」



振り払いたいのに、跳ね除けなきゃいけないのに…其れが出来なくて、寧ろ…このままでいたいなんて…。


私は、何処か可笑しくなってしまったのだろうか?

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