夢の中の吸血鬼 ページ19
薄暗い部屋の中。
カチ、カチ…と、時計の針が秒針を刻む音が、やけに大きく聞こえる。
俺は成る可く足音を立てないよう、ベッドに近づくと、布団の中から僅かに見える雪花の顔を覗き込んだ。
「………。」
赤い頰に荒い息…彼女の熱が高く、苦しいという様子が一目で分かる。
「ほっぺ熱…火傷しちゃいそう。」
片膝をつき、雪花の頰に少し触れてみる…予想よりも熱くて少し驚いたが、それと同時にこんなことを考えた。
––こいつ、こんなに小さかったのか…。
昔は、俺の方がずっと小さくて弱かったのに…いつの間にか、こんなにも差がついていたんだな。
「……ん…」
寝返りを打つ雪花…俺は慌てて手を退けようとするが、彼女の小さな手が俺の手を掴んで離そうとしない。
「なぁ、雪花…早く元気になれよ。」
…結局、俺は此奴から離れられないってことか…。
「………直生…」
「………っ!!」
不意に呼ばれた俺の名前、いつの間にか目を覚ましたらしい彼女は、トロンとした目で俺のことをジッと見つめている。
ちょっと焦ったが、其れは最初だけだ…如何やら彼女は寝惚けているらしい、目が段々ウトウトし始めた。
「……直生…おねが…ずっと、そばに…」
俺の手を握りながらそう言うと、彼女は眠ってしまう。
「大丈夫だよ、ずっと傍にいるから…」
あーぁ…ずっと傍に居てとか何其れ、可愛すぎかよ。
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ミサぽん(プロフ) - 猫さん» だ、大丈夫じゃない!?し、しっかり! (2018年3月22日 6時) (レス) id: 5bf4cfcaa2 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - いえいえ!大丈夫じゃないです…← (2018年3月22日 1時) (レス) id: e2df0854b1 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます!だ、大丈夫ですか?; (2018年3月21日 6時) (レス) id: 5bf4cfcaa2 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 凄すぎて顔が熱い…・ω・ (2018年3月21日 5時) (レス) id: e2df0854b1 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 樹菜美さん» コメントありがとうございます!そこからの続編ですか…!そうですね、書いてみたいと思います! (2017年11月2日 6時) (レス) id: 5bf4cfcaa2 (このIDを非表示/違反報告)
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