第一回戦。 ページ21
扇南。
インターハイで、白鳥沢に大敗してしまったらしい。
大会に来たのに、負けるつもりの学校なんてない。
私は、ベンチに行けなくったって、上から応援するんだから!
烏野高校OBのかたたちと、田中先輩のお姉さんまで応援に来ている。
コートにいる選手たちの緊張、胸の高鳴りがここまで伝わってくるような気がして、
ぎゅっと自分のジャージの胸の部分を握りしめた。
服の上からでもわかる心臓の鼓動。
その鼓動が、私の体に、血液を巡らせている。
いつもより、真剣な表情の翔陽くん。
その雰囲気は、いつもの明るくて可愛い雰囲気じゃなく、
全てを飲み込んでしまうような、美しいような、怖いような表情。
でも、私は、その表情に見とれてしまった。
こっちのチームの応援も、相手チームの応援も、審判の笛の音も、掛け声も、シューズが床に擦れる音も
いつもの何倍も多く聞こえた。
その音、ひとつひとつに誰かのドラマが詰まっているんだと思うと、不思議な高揚感が私を襲った。
谷「なんだか、不思議だね」
『ん?』
谷「みんな、頑張って、積み上げて、勝ちに来てるのに、一回のミスが、ためらいが、それに全てがのしかかってしまうんだから」
『…うん』
谷「ああっ!ごめん!変なこと言った?空に打ち上げられてきます!」
『ええ?ぜ、全然そんなことないから!ってか、それに打ち上げるって!?NASA!?』
冴「はっはっは!あんたら、面白いね!」
『あ、ありがとうございます!田中先輩のお姉さん!』
冴「私のことは冴子ねぇさんと呼びな!」
「「冴子ねぇさん!!」」
冴「いいねぇ!」
冴子ねぇさんのお陰で、ちょっと、心が軽くなった。
もう一度、翔陽くんを見る。
あぁ、やっぱかっこいいな。
スパイクが決まった時の、あの嬉しそうな顔。
それが忘れられなくて。
冴「Aちゃん、日向ばっか見てるね!」
『うぇぁ!い、いやぁ、そんなことないですよ!?』
OBの人たちは、にやにやしながら、こっちを見てる。
谷「Aちゃん、お熱いですねぇ」
仁花ちゃんまで!?
冴「あの子のこと好きなのー?がんばれよ!」
『いたっ、は、はぁ…』
谷「冴子ねぇさん!Aちゃんは、もう付き合ってます」
嶋「まじかよ!あいつ彼女いんのかよ…」
「くそうらやましい…」
嶋「しかもマネージャー!あいつ、恵まれすぎじゃね?」
日「ひっ!今、視線を感じた…」
月「自意識過剰じゃない?」
日「なんだと!?」
108人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
A(プロフ) - これは…日向はSだと思います。あと、でも、今回もとても良い小説でした! (2020年12月9日 20時) (レス) id: 224ecf0a42 (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - なつたねさん、お返事ありがとうございます!あー…確かに間違えがちですもんね…。いえいえ、そんな!選手の皆は「コーチ」って言ってますけどね。もう少しで完結…寂しくなりますが最後まで応援してます! (2020年12月3日 22時) (レス) id: a5ee9c91ed (このIDを非表示/違反報告)
なつたね(プロフ) - あおさん» ご指摘、ありがとうございます!すみません…予測変換で間違えてました…呼び方は、調べ不足でした…訂正させていただきます。もう少しで完結しますが、どうか、最後までよろしくお願いいたします。 (2020年12月3日 20時) (レス) id: b5f72c725d (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!大好きです!ただ…条善寺戦の所のコーチの漢字、間違えてます。「烏養」です。だいたいみんな「烏養さん」って呼んでますよ!先生つけるなら武田先生です。 (2020年12月3日 20時) (レス) id: a5ee9c91ed (このIDを非表示/違反報告)
なつたね(プロフ) - りんこさん» 共に愛を叫びましょう!日向大好きぃぃぃ! (2020年11月29日 14時) (レス) id: b5f72c725d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なつたね | 作成日時:2020年9月25日 20時