その涙を拭いたい (ページ37)

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36話ページ37

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紫耀side

廉の所へ来てから数時間

廉の周りをぐるりと取り囲む様にして話をしている皆を一歩引いて壁にもたれかかりながら見つめる

笑いながら話をするメンバー達
その光景はいつも通りなのに、いつもとは圧倒的に違っていて
そうさせたのは自分なんだと思うとその輪に入ろうと言う気持ちにはなれなかった

夕方になり、しばらくしてからマネージャーさんに「そろそろ..」と声をかけられる
廉の事があってグループでの仕事は延期になったけど、個人での仕事があるメンバーが何人かいるらしい

廉「..そっか、頑張ってな？」

眉毛を八の字にして小さく俯く廉の頭を岸くんが撫でる

岸「そんな寂しそうにすんなって。また明日も仕事の合間見つけて来るから」

廉「..うん！待っとるな？」

恋愛映画のワンシーンの様な甘いやり取りを見せる2人はとってもお似合いで
その様子を無感情にボーッと眺めていた

皆が廉へ声をかけながら病室を出るのに対して、俺は何て声をかけたらいいのか分からなくて、声をかけずに病室を出る

ゾロゾロと歩きながら病院の出入口に向かう
その最後尾に位置する俺に海人が声をかけてきた

海「紫耀、」

紫「...ん？」

海「紫耀は、廉と話しないの...？」

紫「....」

心配そうに、俺の様子を伺いながら聞いてくる海人

...俺は、どうするべきなんだろう
何が俺にとって、廉に取って正解なんだろう

紫「...ごめん！」

急に大きい声を出した俺にびっくりしながら俺を見る皆に「病室に忘れ物したから取りに行ってくる」と声をかける

メンバーからの視線、特に俺と廉の関係性を知っているであろう岸くんと海人からの視線を強く感じたけど意に介さず話を続ける

紫「皆は先に帰ってて」

それだけ伝えると、振り返って廉の病室に向かって足を進める

何が正解かなんて分かっていない

..それでも、廉の所へ行きたいと思った

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