【夏油傑】初めまして、結婚して欲しい

44 hearts ページ44

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私は校門の前で
傑の迎えが来るのを
手を擦り合わせて
暖めながら待っていた。


季節はあっという間に過ぎて、
傑と初めて会った夏の終わりから
今はすっかり裸足でなんて
部屋を歩いていられなくなった12月中旬。

あちこちで、
クリスマスツリーがあって、
イルミネーションで
飾り照らされているようなところばかり。
赤と白、緑ばかりの世界で
何だかいつも不思議に思えてくる。
それに、もうクリスマスを三日後に
控えているから、街もなんだか
浮き足立っているように感じる。

はぁ、と手に息を吐いて
また手を擦り合わせた。
まだかな、と他の生徒が帰っていくのを
見ながら傑が来るのを待つ。


すると、視界の先に羽のようにふわりふわり
なにかが落ちてくるのが見えた。





「雪だ…」




空を仰いだ。
あっという間に、
目の前の世界が粉雪で覆われる。
しんしんと音もなく降り続ける。
白いすだれが
幾重にも垂れ下がっているようだ。
シャワーにも見える。

ぼうっと惚けていた。




「A、」

「へ…ぁ、傑。ごめん気付かなくて」




上がっていた視界が黒に覆われた。
そして、好きで愛しくてたまらない人の声。
傘を持って、心配そうに私を覗いた。





「いや、遅くなって悪かったよ」

「大丈夫」




すると、傑はすごく優しい表情で
少し屈んだ。
どうしたんだろう、と首を傾げた。




「なにか顔に付いてる？」

「いや、ちょっとね」

「…なに？」




そう言われてしまうと気になるというのが
普通で、傑は少し恥ずかしそうにするから。
なんだか、意地悪したくなった。

珍しく顔を逸らされてしまったから、
ちらっと傑が向いた方へ覗く。




「気になるから、教えてよ」

「…まあ、そこまで言うなら

君の髪、外にいたから
雪がついてるだろう？


髪に付いた雪がベールみたいだな、

少し思ったんだ」





ベール。とくん、と胸が弾んだ。
新婦さんが頭に飾ってる綺麗なあれ。
なんだか、身体がふらふらしてくる、
そんなような気持ちになって、
胸がきゅう、として、
でも苦しいじゃなくて
凄く嬉しくてこんなに幸せでいいのかな、
て叫びたくなるようなもどかしい気持ち。

口元がへにゃってにやけてしまう。




「へへ…綺麗でしょ？」



調子に乗ってそんなことを口走った。


.作者
校門の前でこんなカップル居たら私はもう勝手に死ねるんだけど？？？
え、ちょ、眩しい〜〜〜〜〜〜！！！！夏油ｻﾏ〜〜〜！

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