焦い ページ5
HC
JM「せめてお前は教科書を出してくれないか」
HC「もちろん忘れているよ」
そういうと教科書を見せてくれるのが常だけど、ジェミンはむしろ俺に背を向けて教科書立てた。
授業はサラサラ受ける気がなかったのでなんの問題もない。
見事勝ち取った一番後ろの端の席からとても騒がしいあの席を見る。
「Make me your priority!!!」
RJ「英語でメンヘラごっこそろそろやめてくれない？」
「わたしのことを優先してよ!!!」
RJ「英語の授業中だぞ、日本語喋んな。てか授業中に喋んな、前向け」
ロンジュンは明らかに嫌そうな顔をしてAの椅子を足でぐいぐい蹴っている。
すると今度はロンジュンの後ろのジェノに話しかけてロンジュンにまた怒られてる。
いいなあ
JM「いつもAのこと見てるけどさ、好きなの？」
「俺がAのこと？大して喋ったこともないのに？」
JM「可愛い方ではあるでしょ」
Aの顔を見る。可愛いのかこれは。
そんなことを考えていると周りの席が嫌すぎて勝手に俺の前の席に来ていたチョンロが俺の机にもたれかかってきた。
CL「いやー、なんというかなんだろうな。可愛いんだけどな、なんか、田舎の雑種の犬って感じ」
HC「うわそれだ、なんか素朴な感じよな。全然俺のタイプじゃない」
JM「お前は今まで派手で可愛い女子に騙されてきたもんな」
HC「おれマルチーズが好きなんだよね」
小麦色の肌に少し茶色めの髪を高く結んで笑っている。俺に似てるなって思った。
HC「仲良くなりたいな、とはずっと思ってるけどね」
ずっと思っている。中学一年生の時から知っていた。よく笑い声が聞こえてきていた。俺は楽しいことが好きだからずっとこの声に気になっていた。
中学2年生、同じクラスになれてすごく嬉しかった。Aは俺の想像通りの人でよく喋り、よく笑っていた。
でも仲良くなれなかった。Aは話しかけたらきっともっと面白い話をしてくれるだろうしきっと俺とよく合うと思う。クラスでの地位も同じくらいで不足のない人間だと思う。
だけどAが選んだのは俺じゃなくて、イジェノやファンロンジュンで俺じゃなかった。
JM「お前が勇気さえ出せばいつでも仲良くなれるよ」
勇気さえ出せば
そんな綺麗な感情なんかじゃ俺はもう動けない。クラスでの立ち位置とか、ヒエラルキーのどこにいるかとか、そういうことを考えてしまうようになった。
田中Aは誰にでも笑いかける。俺にはできない。
俺は田中Aにずっと焦がれている
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作者名：あ | 作成日時：2024年3月16日 18時
