あなた ページ3
JN
Aはどんな人
今日、ヘチャンにそう聞かれた。
JN「またやり始めたの？」
「なんか時々来るんよ、ツムツム波。」
JN「そんなに楽しい？」
「いや、全然。なんか義務感でやってる」
確かに楽しそうではない。眉間に皺が寄っている。そんなに顔を顰めてたらずっとその顔になっちゃうよと言うと怖くて威厳のある大人になる予定だから大丈夫とスマホから目を離さず言った。
一時期自分はAのことが好きなんじゃないかと思ったことがあるがきっと思春期の気の迷いだろうなと今なら思える。
JN「今日ヘチャンにAのこと聞かれたよ。」
「おー、なんて言ったの」
JN「楽しいか楽しくないかで生きてる子だよって言った。」
「わかってないね。わたしは楽しくなくても義務感でツムツムをする女だよ。」
JN「全然魅力的じゃないね。」
「まだわたしの良さに気づいてないんだね。小学校からやり直しなさい。」
小学校の時のAを思い浮かべる。学校の滑り台で泥団子を滑らせることに命をかけていた。必死に硬い泥団子を作っていた。
中学校のAはどうかな。給食に出たアーモンドが嫌いで3年間机に貯め続けていた。
そして今のAは優先座席になんの躊躇もなく座っている。
JN「Aって本当に変わらないよね。」
「わたしに変えるべき点なんてないからね。」
JN「いまあなたの座っている席を変えるべきだよ。」
「優先座席は優先されるべき人がいない時は座っていいんです。じじばばが来たら譲ってあげればいいだけ、逆に空いている席に座らないのは電車の乗車率を上げることになり迷惑です。」
だからもあんたも座りなさいと言われたけど丁重に断っておいた。
高校生になってもAは本当に変わらない。小学生の時は大人びていたけど、Aはそのまま成長したので今は少し幼く感じる。
見た目もそうだ。高校に行くと女子はある程度の見た目に気を使う人が多くなるけどAは化粧なんてしないし日焼け止めも塗らない。女子はみんな夏でも長袖のシャツを着るけどAは誰よりも早く半袖になった。
「あんたは変わっちゃったよね、ジェノ」
JN「嘘どこが」
「雰囲気。みんなにイケメンイケメン言われて調子乗っちゃってんのか」
JN「俺は別にイケメンって言われるの好きじゃないよ。なんて返せばいいのかわかんない。」
「とか言って一人称が俺になっちゃってるねえ。昔は僕だったのに、あの頃はかわいかったなあ。」
うざくてツムツムをしてるAのスマホにスタ連しといた。
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作者名：あ | 作成日時：2024年3月16日 18時
