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Juri
セットの裏、収録後に俺たちはプロデューサーさんに呼び出されていた。
『君たち、京本くんが居なくなってから様子がおかしいよ?…収録中、ぼーっとしていたり、返答が遅かったり。……気が抜けてるんじゃないか?』
初めは紳士に受け止めていた。きょもが休んでから、周囲の目は厳しくなることは多かったし、俺たちも意識していないところで支障が出ているのは直していかなきゃいけないから。
でも、話はだんだんきょもの話題へと移っていった。
『いやぁ、でも君たちほんとに面白いね!番組的には大助かりだよ。……正直、京本くんいなくてもいいんじゃないか?変わらないだろ〜?あの子は静かな感じだしな。』
昂る気持ちを何とか抑えようと唇を噛み締める。隣に立っていた北斗が俺の手を握った。
『どうなんだい?別に5人でもいけるって思ったりすることあるだろ?局内の会議でもね、話題に上がるんだよ〜、君たちのこと。
冠番組の話まで出たぐらいなんだから、でもねやっぱり5人じゃ無理だって言うんだよ。俺的には京本くん、居なくてもいいんじゃないかなって思うんだけどね』
静かに近づいてくるひとつの足音。
俺たちはまだ、誰も気づいていない。
『……脱退、考えたらどうだい?京本くんが支障になってるのも事実なんだから』
振り返った慎太郎が急に大声を出して叫んだ。
そのプロデューサーさんが左の口角を意地悪気に上げたのは、慎太郎が"足音"の持ち主……きょもに駆け寄って、耳を塞ぐ少し前。
慎「っ、きょも!聞いちゃダメ!!」
慎太郎がきょもを抱き締めて耳を塞ぐ前に、プロデューサーさんはきょもの目を真っ直ぐ見てトドメを刺すような一言を言った。
『SixTONESの邪魔…なのかもね。』
それだけ言って、去ったプロデューサー。初めから、これが狙いだったんだ。きょもに、聞かせるためだけに、俺たちを集めたんだ。
慎太郎に抱きしめられているきょも。だんだんと光を取り戻しつつあった瞳はまた、黒くなった。
前よりもずっとずっと深い闇に覆われた瞳。
倒れた時以来、涙を流すことのなかった綺麗で俺が大好きだった瞳から、一筋の涙が頬を伝って落ちた。
留まることの無い涙、表情ひとつ変わることはなかった。
何度も訪れる、希望の光と、絶望の闇。
今回ばかりは、誰しもが察した。その闇の深さを。
きょもが完全に、"堕ちた"
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璃斗(プロフ) - 美桜さん» マイボードにてお返事しましたので拝見いただけると幸いです!! (2021年1月19日 21時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
璃斗(プロフ) - 美桜さん» ご報告ありがとうございます。私自身インスタグラムの方では活動しておりません.......自分の目で確認したいのでもしよろしければマイボード(私のプロフから飛べるはずです…!)の方でアカウント等を教えていただくことは可能でしょうか? (2021年1月18日 10時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 所々変えてありますがほとんど同じ内容の作品を見かけたのでもし盗作だったらと報告させて頂きました。作者さんご本人がアップされている作品でしたら申し訳ありません。 (2021年1月17日 14時) (レス) id: d7589ab1a0 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - お久しぶりです。作品終了からしばらく経ってしまった後で申し訳ないのですがInstagramの方でもこちらな作品を投稿なさっているのでしょうか?? (2021年1月17日 14時) (レス) id: d7589ab1a0 (このIDを非表示/違反報告)
璃斗(プロフ) - 美華さん» ありがとうございます…!そう言っていただけて嬉しいです…!!今後とも、よろしくお願いします(^-^) (2020年5月4日 22時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:璃斗 | 作成日時:2019年10月13日 12時