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「え?どうって──」
「川上ー!ちょっと来て」
ふと零してしまった私の本音。唐突に発されたその質問に戸惑う川上くんだけど、応えようとした言葉は伊沢さんの呼び出しに掻き消されて。頬杖をついて不服そうにする私を他所に、川上くんは執務室を出て行ってしまった。
「あれ?Aさんこんな所でずっと作業してたの?」
川上くんと入れ替わるように入ってきたのはふくらさんだった。小脇にパソコンを抱えているのを見る限り、ふくらさんも作業しに来たのだろう。
「えぇ、何それ美味しそう」
「川上く…さんが買ってきて下さったんです、お代は私なんですけどね」
「変に気遣わなくていいよ、昔から呼んでる呼び方で呼ぶ方が川上も落ち着くだろうし」
「なんかごめんなさい」
「いいよいいよ。ね、川上って昔からあんな感じだったの?」
「あぁ…、少しツッコミスキルは上がってるような気がしますね?」
私の真正面の席に腰を下ろしたふくらさんは、どうやら私と川上くんとの関係に興味があるらしい。まぁ突然知り合いの昔馴染みの人物が現れたら気になるのも無理ないと思う。
「正直さ、Aさんって川上のこと好きでしょ?」
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作者名:軌壱 | 作成日時:2020年5月10日 10時