淡雪(kwmr) ページ5
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「すみません、私がちゃんと天気予報見て早めに帰っていればこんなことにならなかったのに」
「別にいいよ気にしなくて」
確かにあの時の河村さんの瞳からは、男の人の性みたいな物を感じ取れたんだけれど。どうやら気の所為だったみたい。何だか私がふしだらな性格みたいで恥ずかしい。
でも出会って数回の男女が2人きりで泊まるなんて、そういう考えに至ってもしょうがないとは思う。今回はレアケース。河村さんだから。
「どうする?雷収まるまでテレビでも見る?」
「あぁ、大丈夫です。河村さんが近くに居るって思ったら寝れる気がしてきたので…!」
「そう。じゃあおやすみ」
そう言って少し伏せ目がちになる河村さん。
最近の河村さんは何か前と違う雰囲気を纏っているような気がする。心の奥底に安易に触れられないような、触れたらすぐ壊れちゃいそうな。最近って言っても2週間前の河村さんしか知らないから何があったのかとかは私ごときが関与していいことじゃないけど。
「…河村さんって雪みたい、ですよね」
「どうして?」
「なんかこう、寒そうだから温めてあげたいけど触れたら自分の温度で溶けてしまいそう──みたいな。もちろん性格とか綺麗な肌とか色んな意味があるんですけど」
「なんか後ろの方はサラッと褒められたな」
「もう心の声丸ごと聞かれてるんですからいいでしょう、私も開き直りました」
「雪、かぁ。考えたこと無かったから新鮮だよ」
ほら、溶けちゃいそう。多分河村さんは心の奥底に触れることを許してくれない。今みたいに私が温めようと、心の奥底に触れようとしたけど『これ以上はダメ』って空気が言っている。河村さんはベッドの上の私と目線を合わせずにテレビを見つめたまま。
「溶けないでくださいね」
「…ふにゃふにゃ〜」
「物理的にじゃなくて!」
今にも消えて無くなってしまいそうだから。
私は本気で言ったし、河村さんにも本気で言ったことは伝わってると思うけれど彼は冗談めかした。これ以上言及するのも空気感を悪くするだけなので彼の小芝居に乗ってあげよう。本当に溶けてしまいそうな時は、きっと貴方の大切な人が助けてくれるから。
* * *
fkrさんの話は少し納得がいかなかったので消させて貰いました、また納得のいくものになりましたら公開しますのでその時まで。
連続kwmrさんかよ、と思うかもしれませんが今私の中ではこの2人がアツいのです。()
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作者名:軌壱 | 作成日時:2020年5月10日 10時