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「ねぇ、私拓司くんの顔見たいよ」
「しょうがねぇなぁ。ほらこっち向いて」





ガードが緩められて後ろを振り向くことを許された。一旦立ち上がって後ろを向くけど、これは私はどこに座ればいいのか。彼の足の上に座るなんてことしたら負担をかけてしまう。





「何突っ立ってんの?ここ座ればいいじゃん」
「えぇ…私重いからソファ行かない?」
「何言ってんの、こんなナナフシみたいな腕してんのに?俺鍛えてんだから重くても平気。早くして」
「ナナフシって…」





褒められてるのか貶されてるのか。急かされるまま何だかんだ彼の言いなりになってしまうのが私の悪い所。ダメなところはダメって言わなきゃいけないはずなのに、どうしても強請るような彼の瞳には弱くて。





「てか俺の顔見たいって言ったのAさんじゃん、なんでそんな照れてんの?」
「いや、こんな近いとか思わなくて」
「かーわい」





少し長くなった前髪が目にうっすら掛かっていて、新鮮味を感じる。前髪から覗く瞳が余りにも私のことを凝視するから目を逸らしたら顔を固定されてしまった。私の頬に手を添えて指で撫でる感覚がまた擽ったい。


ゆっくりと近づいてくる彼の顔。反射的に目を瞑る私。彼と私の距離は呼吸が聞こえるくらい近かったから、唇が触れ合うのは瞼を閉じてから1秒も掛からない。





「っは…」





長くて深い口付けを、何度も角度を変えながらされる。私は彼にされるがままで角度を変える一瞬の隙に息を取り込むので精一杯。
何が何だか分からなくなってきた頃にようやく彼の口付けの雨が止んだ。





「──ベッド行こっか」





どうやら止んだどころかこれからが本降りだったらしい。

Good night(k-chan)→←降り注ぐ程の甘い雨を(izw)



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作者名:軌壱 | 作成日時:2020年5月10日 10時

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