【QK】愛屋乃鳥 (ページ2)

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「あれ、早いね。待った？」
「いえ全然！」
「…図書館来る時とはまた違った雰囲気だね」
「図書館では少し大人しめのを選んでるんです。遊ぶ場所でも無いですし」
「どっちもいいと思うよ」

公園内の待ち合わせ場所に着いて5分程経った時、よく知っている声が聞こえてきて顔を上げる。そこには前会った時より少し髪が伸びた河村さんが居た。襟足がくるくるとしていて少し可愛い。なんてことは男性に対して失礼だろうか。

そして相変わらずサラッと爆弾発言をする河村さん。恋愛とは程遠い人生を歩んできた私からすればそれだけで鼓動が速くなってしまう。やっぱり今日限りにした方がいい。

「ここの公園、僕のお気に入りなんだ。大きい割には人が多い訳でもないし落ち着くから」
「私も何回かここには来たことありますよ。ここで本なんか読むとリフレッシュになりますね」

公園というと私の地元は田舎なので、神社と隣接してるような小さい物を思い浮かべてしまうけれど、ここはとっても広い。かと言って河村さんが言うように人で溢れ返ってもいないので居心地がいいのである。

そんな公園の敷地内を2人で横並びになってふらふらとただ歩いていた。設置してあるちょっとした健康用具なんかで河村さんが遊んだり、割と楽しい時間を過ごしていた。

「あれ、雨降ってきました？」
「ほんとだ」
「しかもなんか段々強く……」

不意に肩に水滴が落ちてきた。空を見上げるとドス黒い雲が上空にあって、雨が降ってきたようである。それも運が悪いことにどんどん強くなってきて、あっという間に土砂降りになった。

「僕の家、ここから近いんだけど走れる？」
「全然走れます！あ、でも…」

まだ会うのも3回目の私が家にあがるのは少々気が引ける。それに今私の服は既に濡れているので汚してしまうかもしれない。

「あぁ、大丈夫。目の前にいる女性を考え無しに襲ったりするほど飢えてないし、そこら辺は弁えてるつもり」
「いや別にそういう事ではなくて！」
「いいから走るよ」

どうやら沈黙をそういう風な悩みだと捉えられてしまったらしい。慌てて訂正しようとしたけど腕を持たれて引っ張られたので私も走るしか無かった。