黒本丸から来た一文字の末娘 (ページ6)

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「演練場で逸れたらヤバいからな、誰かと手繋いどいた方がいいぞ」
「はい…姫鶴、いい？」
「ん、どーぞ」
その日の演練場はいつもに増して人が多く、不慣れな舞花でははぐれかねない。姫鶴がしっかりと手を握ったことを確認して、審神者は受付の方へ足を向けた。
「ん、舞？」
舞花が姫鶴の影に隠れ、何も言わずに上着を握り締めて震えている。
「どうした、雛鳥」
「おい！！お前、俺の舞花一文字だろう！！」
太った男がどたどたと近づいてきた。一文字が本体に手をかけたのを見た審神者は護衛の五虎退と大包平、八丁念仏に舞花を任せ、鶯丸を連れて近づく。
「うちの刀剣に何か？」
「俺の刀剣だ！！政府に不当に奪われた！今返せば、お前が連れている刀剣を詫びに差し出すだけで許してやる！」
典型的なブラック審神者みたいなことを言う相手に、呆れを隠しきれない。
「あー、政府規定外での刀剣の譲渡は禁止事項のはずですが？」
「うるさいうるさいうるさい！いいから黙って渡せばいいんだよ！」
死んだ目をした相手の刀剣は三日月、鶴丸、一期、小竜、数珠丸、小烏丸。難民煽る編成の完成である。こちらも一文字と古備前がいるあたり変わらないが。
「小鳥。正々堂々我らから勝ち取って貰おうか」
「…いいのか」
「僕も、行かせてください…！」
「この通り、やる気のある刀が6振りいるぞ？」
則宗が示すやる気満々の刀剣を見て、諦めたようにため息をついた。
「一文字則宗、山鳥毛、日光一文字、姫鶴一文字、南泉一文字、五虎退。頼んだぞ」
頷いた6振りを送り出し、古備前3振りと舞花と祈るようにモニターを見つめた。