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「さて、やはり眠れなかったようだな」
「おれもその役やりたかったんだけど〜」
「お前さんより隣にいる僕の方が移動しやすいと思ってな」
もちろん一振りだって眠っていない。すよすよと眠る舞花を確認して、残りの五振りは静かに息を吐いた。表情が変わらないままに泣いたり、パニックに陥るため、心が壊れてしまっているのだろうと審神者から伝えられている。
「まさか目を潰されていた上に鼓膜まで焼き切られていたとはな。小鳥に伝えておこう」
「言葉もあまり出てきてない…にゃ」
「よく詰まるようだな。なんらかの病気に罹っているのなら小鳥に治せないものなのか聞いておかなければ」
「病気というわけではないようですね。おそらく矯正は可能ですが、今は無理にさせると負担がかかりすぎる可能性が大きいかと」
「いちおう前審神者の呪いらしいがな。日光の坊主の言う通り、無理は本調子に戻ってからだ。幸いにも僕は政府時代からこの舞とは交流がある」
「そうなのか？…にゃ」
驚いたように南泉が体を起こす。
「あぁ。元いた本丸とは国こそ違えど位相が近くてな。ここを監査していた舞花一文字はこの件で心を痛めたらしく、受け入れに伴って黒本丸対策本部黒本丸制圧部隊に移籍したらしい」
「ちょっと待ってその黒本丸なんたらって何？」
姫鶴の声に他の一文字も同意を示す。
「政府に関わることが少なかったお前さんたちは知らなくて当然だな。黒本丸対策本部黒本丸制圧部隊は、その名の通り黒本丸を取り締まる本部の中でも実際に踏み込んでいく部隊だ。仲の良かった同位体が黒本丸で酷い目に遭ったと知って、部署異動を申し出たらしい。ともかく、情報交換は明日にして、もう寝た方がいいだろう」
「そうだな」
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作者名：かえで | 作成日時：2023年8月6日 14時
