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三 ページ3
(…眠れない)
あの時は自然に寝れたけど、暗いのは嫌いで落ち着かない。前の本丸で、他の刀のくぐもった叫び声が聞こえてきたのを思い出すから。私は夜目が効くけど、今は見ることになれてないからあんまり見えていない。山鳥毛と御前の間の布団にくるまりながら何度目かもわからない寝返りをうってみる。他の同派はみんな寝ているようで、少し心細い。
「舞、眠れないようだな？」
寝ていると思っていた御前がそう言って、ちょいちょいと手招きする。首を傾げながら近寄ると、腕の中に収められた。
「なら、僕のゆたんぽになってくれんか？じじいには寒くてなぁ」
「ん、やる」
あったかくて、耳にこびりついた叫び声が聞こえなくなる。
「眠れないのは、何かあってのことか？」
「んー…く、暗い、のが、嫌い。目を、潰され、てた、間の、こと、思い出す、の。私、の目、が嫌い、だって、視力、を奪わ、れて、こま、く、が、焼き、きら、れて、あま、り、きこ、え、ない、はず、の、他の、刀、たち、の、叫、び、声、が、どこ、か、から、聞こえ、て、姿、を、見る、こと、は、でき、なかっ、た。だから、嫌い、で…」
「そうか。大丈夫だから、ゆっくり休みなさい。僕が起こしてやるからな」
背中を叩かれながら、方法なんて忘れたはずの眠りにさらわれるのに身を任せた。
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作者名：かえで | 作成日時：2023年8月6日 14時
