28 最後のメリークリスマス〜ツリメ〜 ページ28
あなたside
街にはクリスマスソングが流れ
幸せそうな人たちで溢れかえっている中
私たちは最後のクリスマスに終わりを告げようとしていた
それはさかのぼること30分ほど前
みつると私はクリスマスデートを楽しんでいた
いや、実際楽しんでいたのは私だけなのかもしれない
ツ「あのさ…A」
A「んーなにー?? どしたのなんか暗い顔しちゃって笑」
ツ「実は俺…引っ越すことになった…」
A「え? それどういう…」
ツ「父親の転勤でさ、ロサンゼルスのほうに…ごめん今まで黙ってて。」
A「ごめんまだ整理ついてないんだけど 嘘だよね?笑」
みつるの顔は苦しそうで哀しそうで
私の頬に涙が伝った
ツ「ごめん。 ずっと一緒だ、そばにいるって言ってたのに…。 Aのことずっと守るって言ってたのに…! 俺、何一つ守れなくて…最後の最後まで逃げるようなことしてAと向き合えなかった…。 ほんとうにごめん。」
優しいみつるのことだから、きっと今まで辛くて言い出せなかったんだろう
みつるの優しさも好きだったはずなのに
その優しさがかえって私を辛くさせた
A「…出発…。出発はいつするの?」
ツ「明日の朝…一番の便」
A「そんな…。 ひどいよ…こんな突然」
ツ「ごめん…。 今までほんとにありがとう。初めてこんなにも好きになれた人だった…ずっと一緒に居たいって思えた人だった。 …それじゃ、元気でな。」
涙ぐみながら笑ってそう言った彼は私に背を向け走り出した
歪む視界の中、小さくなってゆく彼の背中を見つめる
クリスマスソングの音がやけにうるさく感じた
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なつみ(プロフ) - リクエスト募集中です!! (2017年4月9日 1時) (レス) id: 16f94c907a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れのあ。 x他1人 | 作成日時:2017年3月24日 21時