第1章.作戦遂行(4) ページ5
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「オイ何でそんな嫌そうな顔してんだ」
「……噂をすればとはこのことか、銀時」
言わずもがな、銀時である。
万事屋に置いてきたのか、新八と神楽はいない。
「え、何何、俺の話してたの?可愛いとこあんじゃねーか。でもよォ、俺には結野アナがいるから好意に応えることはできねーぜ」
相も変わらず人を煽るような口振りでニヤニヤと抜かす銀時に、Aは半眼になる。
相当呆れているようだ。
「……いや、全然違うな。馬鹿の象徴としてお前を例に挙げただけで、他には何も」
「誰が馬鹿だコノヤロー!!馬鹿って言った方が馬鹿なんですぅ!」
「アンタは何処ぞの小学生か。今時子供でもそんな低レベルなことは言わない」
「うるっせェよ!ホントいちいち癪に障る女だな!!」
無駄に通る銀時の大声は周囲の注目を集める。
Aは黙れということすら面倒になり、取り敢えず腹部に一発拳を食らわして鎮めた。
「言葉で言え言葉で!お前口付いてんだろうが!!」
その行動に対して怒る銀時だったが、途中で団子を購入し万事屋で食べようとAが提案すると、態度は一変した。
本当に単純な男である。
そしてそのまま万事屋に上がり、新八と神楽に軽く挨拶をした。
「Aが来るのは久しぶりアルな!もっと来てもいいのに」
「そうですよ。どうせ仕事もないので来ても迷惑になりませんし」
Aはこの2人に妙に懐かれている。
彼女自身は自分のことを無愛想だと感じているが、少なくとも2人にとってはそうではないらしい。
今日も今日とて仕事の依頼は入っていないのか、事務所では暇を持て余すように定春が欠伸をしていた。
「団子を買ってきた。2人の分もあるから一緒に食べよう」
暫く甘味にありつけていなかったのだろうか。
飛び跳ね抱きついて喜ぶ神楽とペコペコと嬉しそうに頭を下げる新八に、Aの口元は小さく弧を描いた。
______その時。
「旦那ァ入りやすぜ」
気だるけに言葉だけ添えて万事屋に侵入してきた者がいた。
Aの眼が、途端に据わった。
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愛梨沙(プロフ) - 面白いです。更新楽しみにしてます (2019年12月16日 14時) (レス) id: cd2953f50f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:望月向日葵. | 作成日時:2019年10月30日 0時