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「子供たちの未来が明るいものでありますように…」
Aは祈るようなポーズを取ると鬼灯にも聞こえないくらいの小さい声で言った。
そして顔を上げるとまた悲しそうな顔で呟く。
「鬼の方々も、きっと、心苦しいです、よね、」
鬼灯はその言葉に少し驚き、Aを見つめる。
──────純粋な、瞳だ。
「獄卒はあれが仕事なんです。もっと辛い仕事をしてる鬼もいます。」
「……獄卒様は、日々大変なのですね」
そう言って俯くAに鬼灯は「さて、目的を果たしましょう」と声をかける。
「奪衣婆はあそこにいます」
禍々しい川の側、異様な生え方をした木の下にやせ細った老婆が1人、座り込んでいる。
Aはその姿を見てまた、目を輝かせる。
「あのお方が…！奪衣婆様！まるで本の世界から飛び出してきたかのような理想的なお姿…！感激です！」
先程までのAとは打って変わって、とても楽しそうな表情に鬼灯はほっとする。
──────ほっとする？何故？まるで私が機嫌を取らなければいけないような…。そもそも勝手に遣いを寄越したのは天国の方だ。そんなことに時間を割いていること自体、異例なのに。
「鬼灯様、どうかされましたか？」
Aの呼び掛けに鬼灯はハッとする。
「いえ、すみません」
そんな鬼灯の姿を見てAは首を傾げる。
深く追及されると厄介だ、そう思った鬼灯は「さぁ、奪衣婆に挨拶に行きましょう」と歩みを始めるが、Aがそんな鬼灯の裾をぐっと引っ張る。
「いえ、あの…」
なにか言いたげに顔を背けるAに今度は鬼灯が首を傾げた。
Aは奪衣婆の後ろにいた亡者の列を指さした。
「すみません、今奪衣婆様はお仕事中ですよね、それに、亡者様にとって私は蜘蛛の糸…、でしたら、今は近寄らない方が、いいのかな、と」
無闇矢鱈に近付かない、先程注意したことをしっかり飲み込み、気をつけているようだ。
鬼灯は実際、奪衣婆の邪魔にならないように少し遠くから仕事の説明をして、亡者はしばけばいいぐらいに考えていたが、Aなりに、どうしたらいいか考えたようだった。
「そうですね、では、ここからの距離で私が奪衣婆の仕事を紹介します。」
鬼灯がそう言うとAはほっとしたように小さく息を吐き、すぐに表情を切りかえ、メモを持つ。
「よろしくお願いします」
面白い人だ、と思う。
毎秒違う表情を見せる。目の前のことに必死で、まるで人間の少女のようだ、とも思った。
続く
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか？ (12月9日 0時) (
レス) @page11 id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
44(プロフ) - 奇想天外な巫女様に振り回されつつある鬼灯様、最高に好きです！！次の話の更新を楽しみに待たせていただきます！！ (8月1日 18時) (レス) @page11 id: f99a8ee6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マハル | 作成日時：2021年6月13日 9時
