命の灯が消えるまで。【稲荷崎】 (ページ16)

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〝１１〟根も葉もない噂ページ16

*

北さんたちのお陰で、

私は漂う不安から解放されたように、
気持ちが軽くなった。

だが、次の日。

人間上手くはいかないもので。

「松本Aが、
部員に嫌がらせをしているらしい。」

という、根も葉もない噂が広まっていた。

治や倫太郎は私の味方をしてくれたが、

クラスの人達や
学校の人達はそうではなかった。

「マネージャーだからって調子乗りすぎ。」

「それな、たいして才能もないのに。」

「あんなやつ、
いてもいなくてもどうでもいい。」

クラスの人達から浴びせられる陰口、
どこにいても、鋭く刺さる視線。

私の心を痛め付けるのには充分だった。

こんなに人生はﾊﾟｯと変わってしまうのか、
嫌がらせとはこんないきなり始まるのか、
自分でも驚きが隠せずにいた。

私がマネージャーを始めた頃、
このような嫌がらせは多々あったが、
今はわけが違う。

昨日の今日の事だ。
私だって犯人扱いをされ、
それなりに傷ついている。

誰がこんな噂を広めたんだ。

ｽﾞｷｯ、と心臓が痛む音がした。