44*見たくもない光景 ◇ ページ48
◇
「菅原さーーん!」
『あ、ごめん、今忙しい。』
「菅原さん、今の俺のトス見てん!?」
『ごめん、今は…』
最近、気がかりな事がある。
この前まで菅原さんは俺に優しかったのに、
急に冷たくなりよった。
…なんか、最初の頃にまた戻った感じや。
.
『北さん!あの実はッ…』
北「ん?どないしたん?」
俺の目に移るのは、
北さんと楽しそうに話しとる菅原さん。
ズキッ
その姿を見て、心臓が痛む。
そういう事なんか…?
前まで俺に優しくしてくれたやんか。
…俺は遊びやったん?
俺は菅原さんのなんなん?
やっぱり、俺より北さんがええんか。
俺の今までのアピールは何やったんや。
なぁ、なんでなん?
俺は苛立ちと不安で
胸がいっぱいになりよった。
.
ほんで、部活が終わる。
俺は忘れもんをしたので
部室へと戻ろうとした時やった。
「…ッ!?
びっしょりやんけ。何があったん!?」
『ちょっと、
3年生の女の先輩に水をかけられまして…』
聞き覚えのある声がした。
俺は無意識のうちに、
その声のする方へと足を運んだ。
俺はこの後、
自分のした行動に後悔する事になる。
.
部室の近くにいたのは、
北さんと、
全身ずぶ濡れになった菅原さんやった。
どないしたん、菅原さん…?
平気かな…?
俺は物陰に隠れてそないな事を考えとった。
.
「…最低やな。
どないしようか。制服もびっしょりやんな…
体操服とかある?」
『いや、実は鞄もビショビショで…』
「…さよか。
せやったら、これ、着とき。」
北さんはそう言うと、
自分の鞄からジャージを取り出し、
それを菅原さんに手渡す。
…ええなぁ、北さん。
俺もあーゆー事したい。
.
『えっ、いやでも!!
これじゃあ、濡れてしまいますよ…!』
「ええねんええねん。」
『いやで…クシュンッ!!』
「!
風邪ひいたん?」
『いやちがっこれは…』
そんなアホな事を考えとる時やった。
.
北さんが菅原さんの事を抱き締めた。
『えっ、ちょっと北さ…』
.
嘘…やろ…?
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作成日時:2020年9月16日 19時