4*黒髪 ページ5
*
あれからしばらく時間がたち、
お昼の時間になった。
私は極力自分の席にいたくないので、
葵の席へと行く。
『はぁぁぁ…』
私は、大きくため息をつく。
葵「御愁傷様ー。」
『席替えしたい、切実に。』
葵「それは…
あ、すまん。ちょっと待っとってな。」
誰かに呼ばれたのだろうか、
葵は突然教室の外へ出ていってしまった。
…いや待て。
この状況とても辛い。
すっごくすっごく視線を感じる。
さっき怒鳴られたからなぁ…そりゃあそうか。
「貸してくれてありがと。」
「うん、ええよー!」
教室の扉らへんで楽しそうな会話が聞こえる。
扉の方へ目をやると、
葵と、背の高い黒髪の男子が立っていた。
「…このクラスに
菅原Aっていう子いる?」
黒髪の男子が口を開いた。
え…私?
何で?
葵「うん、おるよ。」
葵は私を指差す。
「あ、本当だ。」
黒髪の男子が私の方をじっと見てくる。
『えっ…な、何…』
すると、何でもなかったかのように、
じゃ、また今度。
と葵に言って帰っていってしまった。
いや、何なの?
昨日といい、今日といい、怖いんだけど。
『ねぇ葵、さっきの男子誰?』
私は、帰ってきた葵に聞いてみる。
葵「ん?友達。
去年委員会同じだったんよ。」
『へー。』
葵「男子バレー部の角名倫太郎。」
『ブッ!!』
その言葉を聞いたとき、
私は飲んでいたお茶を盛大に吹き出した。
葵「ちょっ…汚っ!!」
『バレー部!?バレー部ってあの…』
私は、クラスにいる金髪の男子を見る。
彼は友達と楽しそうにご飯を食べている。
『…宮侑と同じ部活って事?』
葵「うん、そうやけど。」
『…てか、なんで私の名前知ってんの?』
葵「Aはさ、
中学のころ全国大会行って、ベストリベロ賞とったやろ?」
『あー、うん。』
葵「その事を角名に言うたら、
見てみたいって言ってきて…」
『あー、で今日に至ると?』
葵「そうそう!
さすがA、分かっとるやん!!」
さすが私の親友やー!
なんて言うから、
頭にチョップをくらわす。
葵「いった…なんでやねん!!!」
『いや、名前知られてるってヤバくない?
しかもあの宮侑がいるバレー部に…
目つけられたらどうすんの!!!』
葵「知らん。」
『おいいいいいいいい!!!!』
教室には私の叫び声だけが響いた。
313人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2020年9月16日 19時