１９＊出会い ◇ ページ21
◇
"あの菅原Aが稲荷崎高校に来るらしい"
高校入学前にそんな噂を聞ぃた。
「菅原A…」
俺が中3の時、
月刊バリボーに載っとったのを、
見たことがある。
"凄腕リベロ" "天才" "中学No.1リベロ"
なんて言われとった。
彼女に興味がわいて、
全国大会の試合を見に行ったこともある。
「サム！サム！あれや！！
菅原Aちゃん！！」
「うわ、本物や。
べっぴんさんやなぁ。」
彼女のプレーは、
一つ一つが滑らかで、丁寧で
俺はその姿に思わず見とれてしもうた。
その上、顔もかわええ。
そないな子と同じ学校になれるなんて、
ほんまに嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
高校に入学して、
惜しくも同じクラスにはなれへんかった。
せやけど、
少しでもその姿を見たくて、
色々と情報を集めた。
「え？バレーやめた…？」
「おん、理由は知らんけど。」
クラスの奴がそう言っとった。
何でや、何でやめたんや。
あんな凄いプレーしてたやんけ。
俺は無性に腹が立った。
そこから何か知らんけど、
急に彼女への気持ちが冷めて、
もう彼女の事はどうでも良くなった。
あれから高2になった。
今日から新学期が始まる。
俺が教室に着くと、
喧しい女子達が俺にたかってくる。
モテるのは嬉しいけど、
ほんまに邪魔やねん。
「あれって、高校No.1人気の…
宮＿＿＿＿＿＿＿。」
ふと名前を呼ばれた気がして、
俺はクラスの扉の方を見る。
ﾊﾟﾁｯ、
と
見覚えのある女子と目が合った。
『あ…』
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作成日時：2020年9月16日 19時
