君の隣で。【短編集】 (ページ5)

今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:8,799 hit

ひとりぼっち＊石田三成ページ5

「お前に助けられるほど、俺は弱くなどない」

強がりで、

「お前にだけは負けたくないな」

負けず嫌いで、

「俺は、お前が誰かに傷つけられるのを見たくない」

でも本当は優しくて。

そんな彼を私は好きになった。
だから、彼が迷った時は側にいて励ましてあげると決めた。
彼は人に頼るのが下手だから、私や左近、吉継達がいないといけないんだ。
でないと、いつか彼自身が壊れてしまう気がする。

「三成っ！」

「ああ、貴様か。何の用だ？」

「はあ、その言い方はないでしょう！」

いつも通りの日常。
私が廊下を歩く三成に話しかけて、冷たい対応をされて。
彼こそが、私の守りたい人。側にいてあげたい人。

三成はいつも一人だ。
誰とも仲良くせずに、ずっと一人。
そんな彼を皆は心配している。
おねね様も、三成と同じ秀吉様の子飼いの清正、正則だって、本当は三成のことを思っているんだ。

ただその不器用さゆえ、衝突することも少なくはない。
三成だって悪気はないのだけど、彼の性格上そうなってしまうのだ。

「ねえ、三成」

「なんだ、まだいたのか」

「いや、ずっと貴方様の隣を歩いておりましたよ」

最近私への対応が一層酷くなった気がするのだが。
気のせいだろうか。いや、そういう事にしておこう。
でもその対応は嫌いじゃない。

「三成っ、三成！」

彼がうっとおしく思うぐらい呼びかける。
三成は最初こそ無視を決め込んでいたが、とうとう耐えきれなくなったようだ。

「おい、いい加減にしろ」

と低い声で言った。
でも私は知ってるんだ。
彼が本当に嫌がっている訳ではないこと。
それを知ってて何度も名前を呼ぶんだ。

「一人にしないよ、三成」

隣を歩く三成をじっと見つめて、そう言った。

「ふん、好きにすればいい」

彼はそっぽを向く。
それでいいんだ。三成らしくて私は好きだ。
三成は本当は弱い人なんだから。
でも、強い。彼は強い。

そんな三成に私は憧れていた。
私も彼みたいに純粋な人になりたかった。

世界は三成が思っているほど、純粋なものではないんだ。
だから彼を守ってあげなくては。

それは私だけではない。
左近も、吉継も同じ気持ち。
私は死ぬまで三成の側にいるよ。

――――――――
何が書きたかったんだって今すごく後悔してますが、とりあえずあげます。