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雪と君は瓜二つ*石田三成 ページ1

ふわふわと舞う雪を眺めていた。
部屋の中はとても寒い。そのせいで、何もやる気になれない。
はぁ、と息を吐くと、それは白かった。
吐く息が白く染まると、もう冬だなって思えるのは私だけだろうか。


「また雪でも見ているのか」

「特にやることもございませんから」

気づけば後ろにいた、幼なじみの三成。
秀吉様の側近で、毎日仕事に追われている忙しい人だ。
三成はふん、と鼻を鳴らして私の隣に座った。


「綺麗だな」

「ええ、とても。まるで三成のようです」

「は? 雪が、俺に…か?」

「はい。だって、三成は潔白ではないですか」


三成は口が悪くて、理想が高い。おまけに素直ではないし、現に多くの人から嫌われている。
でも本当は優しいのだ。素直になれないだけ。
その人のことを想って言っているのだから。
決して嫌な意味で言っている訳ではない。

本当は誰よりも優しくて、純粋で、潔白で。
少し触れただけで、彼は消えてしまいそうだ。
怖い。彼が消えてしまうのは。
私の中で彼は、唯一の光。
私が生きていくには、彼が必要。


「三成、貴方のことは私が守ります」

隣に座っている彼の身体を抱き締めると、一瞬だけビクリと身体を強ばらせたものの、すぐに力を抜く。
そして三成は私の方を向いて、そのまま抱き寄せた。

「馬鹿を言うな。お前に守られるほど、俺は弱くない」

「そうでしょうか。本当は誰よりも弱いくせに」

「弱くなどない」

ぎゅう、と私を抱く腕に力がこもる。
これ以上は何も言わない方が良さそうだ。
でないと、彼はまた力を入れてくるだろう。これでは私の骨が折れてしまう。


「では、私を守ってくださりますか? 三成」

「当たり前だ、馬鹿。女一人も守れぬなど男として恥ずべきことだ」

「ふふ、三成らしいですね」

「ふん、何とでも言え」


この先、三成は一人ぼっちになってしまうかもしれない。
その時は私が彼のそばにいてあげたい。
だって、彼のことが好きだから。愛しているから。

私は彼を守って、彼は私を守る。
それでいいじゃないか。
嬉しい時も、悲しい時も、その気持ちを共有し合う。
彼のためなら、この身を投げるのも惜しくはない。
そんな関係を、私は望んでいるのだから。


先程まで待っていた白い雪は、もう止んでしまっていた。

桜ひらり*日本→



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作者名:りつ(みずりんろーる) | 作成日時:2018年12月9日 11時

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