第二十三話 ページ23
しばらく教室でぼーっとしていると、何人かの生徒が教室に入ってきた。
時計を見ると、短い針は八の数字を、長い針は十二を指している。
ああ、もうそんな時間なのか。
窓の方に目をやると、校門には生徒たちの姿が。
友達と楽しそうに歩いてくる人、イヤホンを耳にし、音楽を聴きながら歩いている人もいる。
はぁ、とため息を吐いた。
今日はいつもよりため息が多い気がする。
先程、(人3)先生とあったことを思い出す。
先生に手を掴まれたことがすごく嬉しかった。
その後の先生の言葉にはへこんだけれど。
このことは自分だけの秘密にしておこうと決めた。
「おっはよー!」
「うん、おはよう」
(人4)が教室に入ってきた。
彼女はいつも通り元気だ。
「今日は始業式からのクラス替えだね」
(人4)はAと同じクラスになれるかなぁ、と呟いた。
そうだ、今日は始業式が終わってからクラス替えがある。
(人4)と同じクラスになるのは勿論のこと、(人3)先生が担任になるよう祈っておく。
なんて言ったって、高校二年生。
修学旅行という一大イベントがあるのだから。
これで(人4)とクラスが離れてしまったら、私は一人ぼっちになってしまう。
仲良くもない、誰だか分からない生徒のグループに無理矢理入れられるなんてごめんだ。
いろいろ考えていたら、SHRの始まりを告げるチャイムが鳴った。
生徒たちはあっという間に席に着き、担任が教室に入ってくるのを待った。
「おはよう」
そう言って教室に入ってきた担任。
皆も口々に挨拶を返す。
勿論私も。挨拶は基本中の基本だ。
「今日でこのクラスともお別れか。寂しいなぁ」
と先生は言った。が、寂しそうには見えない。
少し口角を上げている。
もしかして、最後の別れくらい笑顔でいようとか、そういう考えなのか。
先生がしばらく話しているのを、うんうんと相槌を打ちながら聞いていた。
「じゃあ始業式が始まるから体育館に移動するぞ」
そして、その言葉を待ってたかのように、生徒たちがガタガタと席を立つ。
私と(人4)も席を離れ、体育館へと向かった。
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作者名:りつ(みずりんろーる) | 作成日時:2018年11月26日 17時