ねぇ、先生。【名前変換】 (ページ16)

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第十六話ページ16

「何やってたの！」

四時間目の授業が終わった頃、教室に戻ると(人4)が鬼の形相で此方に歩み寄ってきた。
普段は怒らないあの(人4)がこんなにも怒っているのだ。
私は馬鹿なことをしてしまった。

「ごめん、(人4)」

「私は何やってたか聞いてるの。謝罪なんて要らない。質問に答えて」

「ごめんなさい」

何をやってたかなんて、言わなくても分かるはず。
(人4)が本当に聞きたいことは、何故サボったのかということだ。
いくら親友でも、「先生にチョコを渡す女子たちに嫉妬しました」なんて言えない。
だってそれを言ってしまえば先生のことが好きとバレてしまう。

隠し通さなければいけないこの想い。
言ってしまえば、私の人生は即終了。

「そんなに言いたくないの？」

「うん……ごめんね……」

「…そっか。言いたくないなら言わなくていいよ。何か事情があるのよね」

悲しそうに「ごめんね」と言う(人4)に、胸が苦しくなる。
謝るのは此方の方なのに。

ごめんなさい、(人4)。
いつも隠し事はしなかったけれど、今回ばかりは許してほしい。

本当は言ってもいいと思った、彼女になら。
(人4)は優しいから、私の恋を応援してくれるはず。
でも、そんな優しさは必要ない。
嬉しいどころか、返って悲しくなるだけ。
叶わぬ恋を応援してくれなくていい。

だから、今回だけは言えない。

「ま、それはいいとして…お昼食べよっか！」

「う、うん！食べよう！」

こんなことがあってもいつも通り明るく接してくれる(人4)に感謝の気持ちでいっぱいだ。
私は本当に、優しくて素敵な子と友達になれたなぁ。
ふふっと小さく笑うと、(人4)が「何笑ってんのー？」と頬を膨らませながら言うもんだから、それでまた笑ってしまった。