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第十四話 ページ14

何とか長い長い二時限目、三時限目の授業を終えた。
先生がこの教室にやって来るまであと少しだ。
きっと、先生が入ってきた瞬間に女子たちは彼にチョコを渡しに行くのだろう。
そんな場面を見たくないと思い、私は席を立つ。

「あれ、A、どっか行くの?」

「ちょっとトイレ」

「そっかー、行ってらっしゃい」


(人4)そんな会話をして、教室を出た。

私と(人4)は他の女子とは違う。
一緒にトイレまで行くことなんて滅多にない。
べつに用もないのにトイレに行くのはおかしいと思うからだ。
女子たちは誰か一人がトイレに行くと言ったら、一緒になって教室を出て行くけれど、その行動が未だに理解できない。
トイレくらいも一人で行けないのかと思ってしまう。
何故わざわざ他の人まで連れて行くのだろう。
何だか面倒な関係だな、とか。

そんなことを女子に言ったら、確実に私は怒られてしまう。

なんて考えながら廊下を歩いていると、前方に授業の用意と出席簿を持った(人3)先生が見えた。
嬉しく思ったのも束の間、一時限目の後の休み時間に聞いた女子の『(人3)先生にチョコあげる?』という言葉を思い出して、気分が沈む。

先生が近くまで来た時、私は顔を下に向けて、彼の横を通り過ぎた。
何故か気まずかった。その理由は分からないが。

先生は私に気づいていたのだろうか。それとも気づいてなどいないか。
何も言わずにただ私の横を通り過ぎる。
後ろを振り向くと、先生がそのまま教室へ入っていくのが見えた。

ああ、教室が騒がしくなった。
きっと女子たちが先生にチョコを渡そうとしているのだ。
そんなの考えたくなくて、聞きたくなくて、耳を塞ぐ。
そしてそのまま歩き始める。
私は、女子トイレの方ではなく屋上へ向かうために重い足取りで階段を上った。

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作者名:りつ(みずりんろーる) | 作成日時:2018年11月26日 17時

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