第十九話 ページ19
「ねぇねぇ、これはどう?」
私と(人4)は今、近くのショッピングモールに来ている。
そして、(人4)は服屋さんで自分の服を選んでいるのだが…。
なんと彼女は、私に服を選んでもらおうとしているのだ。
「えっ、私、服のセンスとかないよ」
「いいのいいの! ほら、この服はどう思う?」
何がいいのかは分からないが、直感でいいなと思った服を指差す。
それは黒と白のボーダー柄の服で、(人4)にとても似合いそうだ。
「うーん、なるほどねぇ……」
(人4)は少し考えるフリをして、「よし決めた!」と大きな声を出した。
わたしが選んだ服とは別のものを元の場所へと戻し、そしてその服を持って私を置いてそのままレジへと向かってしまう。
仕方がないから(人4)の後を追ってレジへと向かう。
(人4)の会計が終わるまで、レジから少し離れたところで待っていた。
辺りを見渡してみると、色とりどりの服たちがずらりと並んでいる。
どれも私には似合わなさそうなものばかりだ。
たしかに私にはセンスというものがない。
普段着は棚からぱっと出てきたものを選ぶし、(人4)とお出かけする時はまぁ……少しは悩む。
が、(人4)ほどお洒落なわけでもなく。
というか、彼女には追いつけない。
この店の商品の服をぼーっと見つめながら考え事をしていると、(人4)の声が聞こえた。
「A、待たせちゃってごめんね!」
「ううん、全然大丈夫よ! で、(人4)はお気に入りの服買えたのね」
彼女が手に持っている紙袋に視線を移す。あまり服は買っていないようだ。
あれ、(人4)にしては珍しいなと思う。
いつもなら五着ほど買っている気がするのだが。
そんなに服を買うお金があるのか……なんて心の中で突っ込んでしまう。
そうして紙袋から(人4)の方を見ると、彼女はにこにこと可愛らしい笑みを浮かべていた。
「どうしたの、そんなに笑って」
笑いながら訊ねてみると、(人4)は「えへへ…」なんて言う。
「Aがぱっと選んでくれた服、あまりにも可愛くてさ。Aが選んでくれたことも嬉しいの」
「…そ、っか……」
どうしてそんなにも嬉しそうに笑うんだ。
私は急に恥ずかしくなってしまう。
「大切に着るね」
(人4)の最後の一言に、私はとうとう顔を赤くしてしまった。
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作者名:りつ(みずりんろーる) | 作成日時:2018年11月26日 17時