イノセンス (ページ33)

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席に戻っても願いは虚しく居てくれたほくにぃ

考えるよりも先に口走った「会社からの呼び出し」
勿論嘘だけど、言ってしまったからにはそのまま活用する

何とか外まで出て、少し歩いたところにある公園へ向かう

お互いの家からは遠かったのにこの公園で遊ぶのが大好きだった

息を切らしながらおいかけっこをして、

大好きなジャングルジムで遊んで、落ちて怪我して
泣きわめく私をあやしてくれたのも勿論ほくにぃだった

期待しない

なんて思いながら、こんな思い出しかない場所へやってくる私は相当だと思う

「お姉さん、これ落としてません？」

思い出にふけていると突然かけられた声

ハンカチを差し出しながら微笑む女の人
明らかに私のものでない

「ごめんなさい、違う人のものみたいd…っ」

突如襲った目眩
口元に当てられたそのハンカチに状況を察する

嗚呼、ほくにぃと会えたのは人生最後のご褒美かな
なんて馬鹿げたことを考えながら意識は遠のいていく