4.人生万事塞翁が虎 ページ4
買い物の帰りに夕飯の支度が面倒臭いから何となく、店で茶漬けを食べようとヘンゼルに聞き、許可を貰ったので早速店に向かった数時間前。
その数時間前の自分を殴りたいと、ここ迄強く後悔したことは無いだろう。
「【最悪とはまさにこの事だろうね】」
「……ヘンゼル、私が唯一ハッキリと嫌いだと確信出来る最低最悪の人間が目の前に居る場合、どんな行動を取れば良い?死ねば良い?そうするべきなのかな?」
「【Aが命を落とす必要性は無いよ。だってその最低最悪の人間は自ら死を望む馬鹿なのだから】」
ヘンゼルと並んで、口々に云う。
目の前の男はへらへらと笑いながら、「酷いなあ、相変わらず。」等と云っていて、傷付く様子も、怒りの感情も見えない。
そりゃあこの男はちょっとやそっとじゃ傷付く事等無いだろう。然し、私はそれが怖いのだ。
私が最も恐れるのは、心が読めない人間で、裏表のある人間。感情を自ら作っているような、言葉を選んでいるような、その一言一言が私の心の嫌悪感を増幅させていくのだ。
何故自分を偽るのか、それが分からない。
ありのままの自分が恐ろしいのだろうか。だとすれば、それは憐れな人間だと云える。
その考え方も、きっとこの間、ブツブツと愚痴を云うヘンゼルの言葉が頭に残っていただけで、これはきっと私の本心ではないし、私の考えでもない。
ただ、ヘンゼルと私の感情が同一だという可能性があるのなら、私のこの嫌悪感はヘンゼルのものだと云える。
けれどそれは正解ではない。
きっとこの嫌悪感は私の本来の感情から来ているのだろう。
それが分からないのは、私が何をどう感じて、何をどう考えれば良いのか分からないからだ。
一つ、確実に云えるのは、
「貴方と関わるとロクな事にならないんですよ、"太宰さん"。」
この男が、とんでもない
・
・
((当たり前は、当たり前のように崩れて之く。
))
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愛音桜(プロフ) - 楽しみにしてます! (2019年1月12日 16時) (レス) id: ac920c0bf7 (このIDを非表示/違反報告)
畳山 - 続きが楽しみです!! (2019年1月7日 0時) (レス) id: b83d4428ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nico | 作成日時:2017年11月8日 22時