#・ ページ29
結局、気持ちを伝えることも
転校することも伝えることが出来ず
私の夏の小さな恋は終わった。
いいんだ。これで、
『初めっからなにも無かったんだよ。』
「何がなかったん？」
『誠也くんっ！』
「帰ってきてからおかしいで？なんかあったん？」
『んーん、明日から新しい学校だから少し緊張してるだけ。』
末「大丈夫や、同じクラスに正門も小島もおるやろ？なんかあったら3年に俺もリチャもおるし、1年には佐野もおる。みんなAの味方やで。」
『うん、ありがとう』
ーーーー
ーーー
ーー
『ねぇ、重岡くん』
重「んー？」
『この手は一体なんでしょうか？』
重「ほら、花火終わって暗なったし危ないやろ」
『…そうだね』
帰り道、繋がれた手に少し緊張が走った。
重「明日から学校嫌やなぁ」
『ほんとだね』
重「今度さ、2人でまた出掛けへん？」
『どこか行きたいの？』
重「そりゃ、好きな人とは出かけたいもんやで？」
『考えとく』
重「考えんなや！笑」
『だって、変なとこ連れてかれたら嫌だもん笑』
重「ちゃんと場所は考えるわ！」
『………』
ふと、周りを見渡すと見慣れた街まで帰ってきていた。
『……… 』
重「黙り込んでどうしたん？」
「…帰りたくないっ、」
重「えっ、」
『っ、ごめん！なんでもない！』
重「そんなん言われたら俺、期待してまうで」
『期待、してもいいよ。』
重「っ、あかんあかん！こんなんあかん！ほら、大事にしたいし、こんな流れでぜったいあかん。」
『ダメなの？』
重「っ、だめっじゃないけど…お前は大事にしたいから」
『ふふっ、冗談だよ！困らせてごめんね笑』
重「なんや、冗談か〜！もうそうやって男弄んでたらそのうち仕返しされんで？」
いつも通りの悪い顔をした重岡くんだった。
『その顔、ほんとムカつく』
重「どんな顔やねん」
『その顔じゃん』
重「そろそろ家やな」
『うん、送ってくれてありがとう』
重「また明日学校でな！」
『…っ、また明日ね』
その、また明日は来なければいいのに。
重岡くんが見えなくなったところで私も駅まで引き返した。
『うそ、ついてごめんね。』
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作者名：Spica | 作成日時：2024年2月12日 9時
