WEST SIDE STORY 赤 (ページ18)

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#出来損ないページ18

誠也くんとの電話ですっかりテストのことを
忘れて寝てしまっていた。

夢の中から一気に戻される鈍い痛みとともに目が覚めた。

『っ、』

目の前には血相変えて怒っている父。

その後ろでは申し訳なさそうにしているお母さん。

父「テストの成績がオール満点じゃなかったって聞いたぞ」

母「でもこの子は頑張ったんですよ、無理に起こさなくても」

父「寝る間も惜しんで勉強してればこんな成績取らないだろう！」

『…ごめんなさいっ、』

父「お前は本当に出来損ないだな、高梨の恥だ。」

母「あなた、そこまで言わなくても」

父「お前がいけないんだろ、お前の教育がなってないからこんな奴に育つんだ！」

ｰｰﾊﾟﾁﾝｯ

『っ、』

母「Aっ！」

『お母さんには手を出さないで』

父「この夏休みは外出禁止だ。いいな」

『今年も末澤家に行こうと思ってて…』

父「あの点数でそんなこと言うのか？」

『行くって約束してるから』

父「この俺に楯突くんだな、いい度胸だ。こっちに来い！」

ーーーーーﾄﾞﾝｯ、

父「ここで1日反省してなさい。」

そこは物置部屋にされていて、窓ひとつない部屋だった。

『お願い、やめて出して！言うこと聞くから！お願いします！お父さん！』

何度ドアを叩いてもあの人の耳に届くことは無かった。

遠くで母が何か言っていたが今の私にはそんな事を聞く余裕なんてなくて少しずつ遠ざかる意識とともに呼吸をすることさえ忘れようとしていた。

ーーーー

目が覚めた時にはあまり見なれない部屋にいた。

「Aっ！」

『せーやくん…？』

「良かった…Aが目覚ました！」

その言葉を聞いて駆けつけたのが母だった。

母「Aっ！」

『おかーさん…？』

母「ごめんね、本当にごめんね。」

『ここって？』

母「あの後あの人が寝静まってから迎えに来てもらったの」

「お前軽すぎ、ちゃんと食べてんのか？」

母「せーちゃんったら倒れてるA見るなりお姫様抱っこして"直ぐに連れて帰ります"ってキザなセリフ言っちゃって」

「おばさん、それ言うたらあかんやつ！しかもせーちゃん呼びやめてって！」

母「あらあらごめんなさいね、あとは2人でごゆっくり〜」

『ちょっ、お母さん』

「お前なぁ、俺ほんまに焦ってんからな！」

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