#お誘い ページ15
昼休みを知らせるチャイムが校舎に響いた。
重「おい、A飯行くぞ」
授業が終わって間も無い教室に響く彼の声。
そりゃ、誰もが振り向くわけで私の立場がない。
『私、お弁当…』
重「ええから行くぞ」
半ば強制
『あれ、屋上こっちだけど』
重「誰も屋上とは言ってない」
『どこ行くの…？』
重「黙って着いてこい」
重岡くんと打ち解けたと思ったが、
案外そうでもなかったみたいで、俺様なのは変わらない。
でも、一つだけ変わったことがある。
喧嘩をしなくなったこと。
未だに退学する人はいるものの、喧嘩をしているところは見ないし耳にもしなくななった。
ほんとに重岡くんはよく分からない。
重「おい、ぼーっとすんな」
『空き教室…？』
重「はよ飯食わな時間なくなんで」
『え、2人っきり？』
重「なんか不満か？」
『いやそんなことないです』
………
特に会話がある訳でもない。
だからめちゃくちゃ気まづい。
なぜ私はこんな奴に目をつけられてしまったのだろう。
重「なぁ」
『ん？』
重「お前ん家さ、親厳しい？」
『それなりに…』
重「アイツらが夏休みに淳太の別荘にバーベキューしに行こ言うてんねんけど、お前のこと誘えって」
『バーベキューか…ちょっと厳しいかも…』
重「遊びに行くとか言うてあかんの？」
『私友達いないし、怪しまれる』
重「俺らが友達やん」
『そうじゃなくて、友達作ること許されてないから』
重「なんであかんの」
『成績に反映しちゃうから』
重「そんなん遊んでても良い成績取ればええんやろ？」
『しかも夏は私、こっちに居ないと思うし』
重「どっか行くん？」
『家にいるのが嫌で毎年夏休み期間は親戚の家に行ってるんだ』
重「家どこなん？」
『兵庫かな』
重「1日くらいバレへんのちゃん？」
『そうもいかないからさ(苦笑)』
重「そっか…分かった、考えとく」
私はまだ、この重岡くんの言うこの言葉の意味を
深く考えていなかった。
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作者名：Spica | 作成日時：2024年2月12日 9時
