【APH】空模様、恋模様。【短編集】 (ページ15)

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かまってちゃんのうぉーあいにー③（中）ページ15

Aは読んでいた本を開いたまま顔までばっと勢いよく持ち上げて、顔をかくしてしまった。上からのぞき込んでやろうと体を動かせばAが体をよじって見られないように抵抗する。そのうち面倒になった我が本をぱっと取り上げてしまうと、茹でだこのように耳まで真っ赤になったAの顔があらわになった。大きく見開いたまんまるの瞳にたっぷり涙をためたAが可愛くて、ついにやにやと頬が緩む。上から顔を覗き込むように目を合わせると、Aはびくりと見ているこちらが哀れになるほど大きく肩を揺らして顔を勢いよく明後日の方向へ向けてしまった。
｢ん?どうしたあるか、我のいうことはどうでもいいことじゃなかったあるか?｣
｢何笑ってるんです!｣
｢いや、Aが可愛かったからつい｣
｢つい、じゃないですよ！恥ずかしいんです！｣
Aは腕ごとがばりともち上げたかと思うと、ついに袖口で顔を覆ってしまった。いつもは上品に小さな口ですんと落ち着いた声で話す彼女が、歯が見えるほど大口を開けて声をはりあげている。我以外に、一体誰がAのこんな顔を見たことがあるだろう。湧き上がる優越感と愛おしさに胸がじわりといっぱいになった。
｢いいじゃねえあるか、我達恋人あるよ｣
｢でも、まだ付き合って日も浅いし、キスもまだだし……け、結婚って、国同士だと条約とか同盟とか色々大変っていうか……｣
「でもお互い上司も国民も乗り気あるよ？」
うわずった声で捲し立てたAだが、最後の方は顔を覆っていた手を今度はぴっとりと頬にあて忙しなくきょろきょろそわそわと視線をさまよわせている。自分で言って照れている。なんと可愛いことか。こんな姿は我以外に絶対に見たことがないのだろう。自然と口角がにいと上がるのは自分でもわかって、思わず口元を押さえた。最高に気分がいい。
｢今のうちに慣れとくよろし。将来夫婦になったら毎日これあるよ｣
｢ばか!｣
我は追い打ちをかけるようにくすくす笑いながら言ってやるとAが悲鳴のように鋭い声で叫ぶ。それからきっときつく我を睨んだが、恥ずかしくなったのか目を逸らしてしまう。そんな真っ赤な顔と涙目で睨まれても、ちっとも怖くねえあるよ。

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