☃️ ページ41
＊*＊*＊-
あの頃のことは今でも鮮明に思い出す。
ちょうどあの時は、翔太が同級生から理由もなく、いじめを受けているというのを知った頃だった。
涼太が辰兄や姉ちゃんに相談して、それから俺ら残りの兄弟にも知らされた。
翔太がいじめを受けているっていう話を聞いた時はすごく驚いたし、悔しさでいっぱいだった。
なんで翔太がって。
翔太のいじめにいち早く気づいた涼太は毎日のように翔太を迎えに行き、一緒に帰ってきていた。
ちょうどその日も一緒に家に帰ってきたばっかりだった。翔太も涼太も擦り傷を作って帰ってきて、2人の雰囲気から兄弟皆が話を聞くことは出来なかった。
それがどうした。突然俺の部屋に来たと思ったら『強くなるにはどうしたらいい？』って。
「…なんかあった？」
「……今日いじめてるヤツらにあってさ」
＊
涼太side
「お前、誰？うちの制服じゃないだろ」
「…あー弟を待ってて」
学校が終わって、翔太を迎えに行った時の事だった。邪魔にならないように校門の外で待っていると通りすがりの男子生徒に話しかけられた。後ろには数人の取り巻きが居る。
制服は多少着崩してはいるけど一般的なごくごく普通の生徒に見える。
「ふーん…弟の名前は？」
「雪宮翔太って言うんだけど」
翔太の名前を出すとそいつらは、「翔太？」と、馬鹿にしたような笑い声を上げる。
「あいつ、兄貴なんていたんだ」
「……双子なんで」
「双子？！全然似てねぇーな！！」
じろじろと俺の周りをうろつく。気持ち悪いな…と思いながらふと、胸元につけてあったワッペンを見ると翔太と同じ青色のラインが引いてあった。
ということは、こいつら翔太と同じ学年？
「うちの翔太いじめてるの、君たち？」
「うーん？いじめてるっていうか可愛がってる？」
リーダー格であろうそいつは、飄々とした態度で答える。「なんで翔太なの？」と、あくまで冷静に質問すると口角を少しだけ上げ、そいつは真っ黒な瞳で嬉しそうに答えた。
「理由なんてないよ。誰でもよかったから」
…は？
「いや別に翔太じゃなくても良かったんだけどさ、あいつ歌のコンクールかなんかで賞貰ってたじゃん？調子こいてんなーと思って、翔太にした」
薄ら笑いを浮かべ、自分がしてきたことをそいつは理解していなかった。
怒りがふつふつと湧き上がってくる。
ふざけんな。
誰でもよかった？
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