☃️ ページ22
＊*＊*＊
翔太side
家に帰る途中。反対の歩道に見た事、ある子を見つけた。
「あれ…あれ亮平の？」
前に亮平に写真で見せてもらったことがある。よく、本の貸し借りをしているって言う女の子だ。すげぇ慌てた様子でどうしたんだろう。
「あ……！！」
その子は俺の顔を見ると手を大きく振っていた。なにか喋ってるようにも見えるけど車の音がデカすぎて何言ってるか分からねぇ。
「待ってろ！今そっち行くから！」
それだけを言って俺は反対側へと向かった。
＊
「あの、あ、え、りょ、亮平くのお兄さんですよね？」
「あ、うん。そうだけど…よく分かるね。俺の事」
「写真を見て…」とたどたどしい感じで答える。どうやらこの子は亮平が言ってた通り、喋るのがあんまり得意じゃないらしい。
「どうしたの？俺になんか用あったんだろ？」
「あ、あの、た、たすけて、助けて欲しくて」
「助けて…？どうかしたの？」
「亮平くんが、高校の、クラスメイトに、殴られて」
………は？
「わたし、は逃がして、くれたけど、今もまだ、いる、かも、しれなくて、ご、ごめんなさい…あの、ほんとに、」
小さく震えて手は強ばって余計な力が入っていた。爪がくい込んで指を伝って赤い液体が流れていく。俺はその手をそっと解いて、彼女に笑顔を向けた。
言葉に詰まりながらも必死に伝えてくれたその子の頭を優しく撫でる。
「教えてくれてありがとう。その場所は分かる？」
＊
彼女に教えて貰った場所に行くと亮平が一方的に殴られている姿が見えた。
「お前ら俺の弟になにしてんの？」
声かけると、辛うじて亮平が俺の名前を呼んでくれた。待ってろよ、という意味も込めて亮平にだけ小さく笑いかける。
「あ？んだてめぇ、あー、お前、亮平の兄貴か。お兄さん、僕達は弟さんの教育をしてただけですよ〜？」
ふざけた口調の言い方に腹が立ち、思い切り胸ぐらを掴んだ。
「おい！何すんだよ！！」
「…下っ端もひいてんぞ。お前、んなことやってて楽しいか？」
「はぁ？こいつが悪いんだろ！！こいつがいなきゃ学校で浮くことも推薦も！」
「それは、お前の自業自得だろ。お前がお前らがいなきゃ亮平も彼女も今頃まだ、高校に通ってた。
高校でしか体験できねぇ事たくさんやって
いっぱい笑って、時には悩んで、大人になってあー楽しかったなぁって言えるようなそんな時間をお前は奪った。」
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