☃️ ページ15
＊*＊*＊
まずは保湿剤を塗って、その後に赤切れが酷いところにクリームを塗っていく。
動画で覚えたマッサージを軽くやると姉ちゃんは、上手いじゃんと素直に褒めてくれた。
「よし、これでとりあえずはOK！1回じゃ効かないから何度か続けるぞ」
「え、1回じゃ効かないの…？」
「ケアってそういうもん。日々の積み重ね。はい、手出て」
渋々手を出し、めんどくさいな〜みたいな顔をする。自分でしたいって言ったんじゃん…？って思いながらも面倒くさがりなのが姉ちゃんだからなぁと、自分の中でなんか腑に落ちてしまった。
「何塗るのそれ」
「ベースコート」
「ベース…コート？？なにその野球のホームベースみたいな」
「マニキュアの下地みたいなもん」
「え、あっちょっと！いいってマニキュアとか！柄でもないし！」
「あー！動くな！ズレる！せっかくAの為に綺麗にしようと思ったんだろ？だったら爪も少しは可愛くしとけ。安くつけとく」
動く姉ちゃんの手をガチっと掴み、マニキュアがズレないようにする。姉ちゃんもあまりの動けなさに堪忍したのか黙って爪にマニキュアを塗られていた。
「翔太はさ」
「ん？」
「やっぱり手とかメイクとか気をつけてる方が女子は可愛いなって思う？」
「だからさっきも言ったけどそんなん人それぞれ…」
「いやぁ、だってさ？彼女がこんな手ガサガサだったら嫌じゃない？普通」
「あー…それ別に気にしないから俺は」
＊
Aside
「なんで？」
「だって、そりゃそう気をつけてた方が可愛いかも知んないよ？一般的には。でも、それってその人が努力してきた証だと思うんだよね」
「うん」
「そんなになるまで何かを頑張ってたってことじゃん。それって凄くね？」
我が弟ながらその考え方に胸を打たれた。お前こんなこと考えられるようになったのか？？
あの時、苦労した自分がなんか救われた気がする。
「はい、出来た！これで乾かすからもうちょっとこのままな！」
「はーい」
と、翔太に言われるがままマニキュアを乾かす。ほんのりピンクが色づいて光に当てるとキラキラして可愛い。手も何だかしっとりしたような気がする。
全然、赤切れもしみなかったし。
「翔太ありがとう」
「どーいたしまして、今度焼肉奢れよ」
「高くつくなー笑 いいよ。ちょっと高い焼肉屋行こう」
「マジ？！やった！ラッキー！！」
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