☃️ ページ11
＊*＊*＊
うわぁ〜、積極的〜。私には無理ぃ〜。
こりゃ惚れてんだろうなぁ…。そりゃそうか。ラウくんかっこいいもんなぁ。
「そうだ！見てみて！ネイル新しくしたの〜！」
ピンク色にキラキラと輝く綺麗な爪。真っ白い肌。私には等に失われたもので自分の手を見ると赤切れ、カサブタだらけ。爪は土だらけ。
その子とは、まるで比べ物にならない。別に比べる必要なんてないのに私は咄嗟に手を後ろに隠した。
「うん！綺麗だね」
「そうでしょ〜？！真都がピンク、可愛い言ってくれたからピンクにしたんだぁ！」
「いいね！手綺麗な人とっても素敵だと思うよ！」
ラウくん…。手が綺麗な人が好きなんだ……。
「ねぇ！真都！ちょうどタイミングしさ！カラオケ行こうよ〜！！！」
「え〜今日は…」
「行ってきなよ、ラウくん」
「Aさん…？」
「お友達のこと無下にしちゃダメだよ〜？！青春は1度しかないんだから！」
「おばさんっ！いいのと言うね！」
おば…おばさん…。まぁ、この子からしたら私なんておばさんだよな。落ち着け…落ち着くんだ。私。
「……Aさんが言うなら行く」
「よっし！いこー！いこー！真都！早く！」
その子に引っ張られて、ラウくんはお店から出ていった。見えなくなったのを確認して自分の手をもう一度見る。
「やっぱ…酷いなぁ…」
花屋は手荒れしてなんぼ。なんて言うけれどこれじゃ、大切な誰かと手を繋ぐことだって出来ない。
〖手綺麗な人、とっても素敵だと思うよ！〗
………帰りにハンドクリームでも買って帰ろうかな。
＊
んでこれがその衝動買いしたハンドクリームな訳なんだけど？？
いや、よくよく考えたらよ？なんで私は今更ながら手の手入れを？！もう手荒れが酷くて諦めて、ここまで仕事してきたのに？！
なんでか知んないけどラウくんのあの言葉が頭に引っ付いて離れない。
だって、手が綺麗な人素敵だよなんて…言われたらさぁ。
「あっー！！！もぅ！！！クソッ！」
「姉ちゃん、今度は何？！笑 荒れてんなぁ」
「姉ちゃんだってー、叫びたい時はー、ある」
「なにそれ笑 名言ぽっく言わないでくれる？」
あ、そーだ。翔太に聞いて見りゃいいじゃん。
「弟よ、姉ちゃんはお前に聞きたいことがある」
「何、改まって…。こわっ笑」
「男はやっぱり、手の綺麗な人が好きなのか？」
「はっ？笑」
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