☃️ ページ36
＊*＊*
「姉さんにはちゃんと連絡するし、俺から謝るからだから…。だから、ちょっとだけ1人にして。家にもちゃんと帰るから」
この感じ、俺にはなんか既視感があった。
あー、昔の俺か。もしかして。〖助けて〗って言えなかった俺にそっくりだ。あの時のまんま見てる見てぇ。
何があったかは知らねえ。けど今の亮平を絶対にほっとくなって俺の勘が言ってる。
「悪いけど1人は無理」
「兄さん…」
「サボるなら1人より2人でサボった方が楽しいだろ」
「えっ……？」
＊
亮平side
「あっ！！なー！あのボール曲がってくんだけど！」
「曲がらないようにピン投げるんだよ〜、ボーリングって」
「え〜！じゃ、亮平やってよ！」
「いいよ？」
「うおっすげー！！！全部倒れた！！なんで？！」
「ボーリングってそういうもんだよ？！！」
あの後、翔太兄さんに連れられて映画やカラオケ、ボーリング。色んなところに連れていってもらった。
あんなにモヤモヤしていた気持ちもいつの間にか晴れやかになって自然と笑顔がこぼれ落ちる。
あーなんか、ちゃんと笑ったの久々かも。
「ねぇ、兄さん。次はどこ行く？」
「んー、そうだなぁ。そんじゃ、俺が好きな場所連れて行ってやるよ」
「えー、どこだろ…？」
「まぁ楽しみにしてろって！」
＊
「ここって…うちの近くの浜辺じゃん」
後ろを向けばもうすぐ目の前の高台に家がある。兄さんは「ここ座れよ」と近くに置いてあった流木に座るように促した。
言われた通りに座るとそこには、オレンジ色に光る夕日が見えた。周りには遮るものもなく、その美しさに引き込まれる。
「綺麗…だね」
「だろ。しんどい時とか、嫌なこと会った時にここ来ると落ち着くんだよ」
「元気でるからな」と目を細めて笑った。確かにこれは元気になりそう。今までなんで知らなかったんだろうな…。
潮風が頬をを通り抜けて波の音が心地よく、耳に響く。
「なぁ、亮平？」
「ん？」
「今日、何があったんだ？」
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