※知らないふりをすればよかった ページ32
＊*＊*
いじめ表現あり
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亮平side
「お前さー！マジで学校来んなよー！」
「おいブタ！俺たちの前、歩いてんじゃねーよ！」
うちのクラスに転校生がやってきた大人しくてちょっとふっくらとした女の子。最初は絵が上手くてみんなから注目されてたんだけど喋るのが苦手な彼女は、それに上手く対応出来なくて孤立していった。
「うわー！みて、この辺ちょー臭いんだけど！」
「ねー、ウザイからどっか行ってくんない？」
下を俯きながら席を立ち、その子はクラスから出ていく。「ほんとに出ていったよ！」と、言った本人達はゲラゲラと下品な笑いを浮かべていた。
このクラスの大半がいじめを黙認している。だから彼女を助けない。自分が虐められたくないから。
うちは進学校って呼ばれてるけどこんな所を見ると実際は名ばかりだと思ってしまう。
「ねー、亮平」
「なに？」
「亮平もあいつと一緒に遊ぼうよ！毎日勉強勉強で退屈だろ？」
1人のクラスメイトが俺にそう提案した。冗談じゃない。俺はそんなことするためにこの学校に入ったんじゃないんだ。
「あー…ごめん。俺生徒会行かなきゃ」
教科書を閉じて、なんとかそいつから距離をとる。この方法でどうにかそいつの誘いを断ってきた。いじめに加担するなんて真っ平御免だ。
でも、このイジメを止めない俺も彼女にとってしてみれば同罪に当たるのかもしれない。
「チッ…優等生が」
＊
そいつから逃げ出して、何処で勉強しようかと考えながら校舎を歩いているといつの間にか旧校舎の方まで来てしまった。
「やば…こっちまで来ちゃった」
俺が入学した時には新校舎での授業だったから旧校舎は初めてくる。しばらく歩いていると図書室と書かれたプレートを見つける。
よし、ここなら。
扉を開けるとギギッと錆び付いた金属の音がする。少し埃っぽいような気がするけど勉強出来なくはないか…。
奥へ進み、木製で出来た椅子にゆっくりと腰を降ろした。
「あ…」
「あ……」
何気なく視線をあげるとそこには彼女の姿があった。目を真っ赤に腫れさせ、ついさっきまで泣いていたことが分かる。
「あ、ぁ…えっと…………」
「ご、ごめん！急に来て！ノックもしないで！」
「い、いいんだよ！！全然！私もなんて話しかけたら良いかわかんなくて………」
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