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「弟くん、何歳なん?」
16歳だと答えると同級生なことを喜んでいるみたいだった。
「嬉しそうだね」
「そりゃ嬉しいもん!この仕事してると同級生なんておらんから!なぁ、照兄が勝ったら蓮くんに会わせてや!友達になりたい!」
「…いいけど、てかその照兄ってなに?笑」
「だって、お兄ちゃんやもん!いいやろ?照兄!」
17歳で働いてるくらいだからしっかりした感じなのかな?って思ってたけど全然そんなことない。
むしろ、甘えたで弟気質って感じ。スキンシップだって多いし…笑
「康二は、なんでこの仕事してるの?学校とかは?」
「学校はな、行ってないんよ」
って気まずそうに答える。聞いたゃいけない事だったかなと思っていると、ケロッとした明るい雰囲気で自分の洋服をまくり上げた。
「これ…って……」
そこには薄い文字で【10621】が書かれていた。見覚えあるやろ?と、腕を見せながら明るく答える。
「どうして…?康二も優勝者なの?」
「ちゃうねん」
首を横に振って、それを否定する康二。少し前かがみになって話を聞いて欲しいとお願いされ、俺は素直に頷いた。
「俺はなぁ、ちょっと特殊やねん。俺のオトンが10地区の優勝者でな、首都に住むオカンと結婚したんよ。
照兄もわかると思うけど優勝者って言うのはアイドルとか俳優さんみたいに有名人になるんよな。
オトンもそれなりに有名でさ。何不自由ない生活送らせて貰ってたんやけどオトンが病気で死.んで、
周りが急に態度変え始めた。お前が殺したんやろって。そんなこと1個もないねんで?オトンは病気で死.んだんやから」
「うん」
「身に覚えの無いバッシング浴びせられて、俺らは首都に入れんくなって、オトンの故郷に行こうかって話してたんよ」
えっ…そんなことしたら。
俺の反応を見て察してくれたのか苦笑を浮かべ、目線を下へと逸らした。
「もちろん、ハンガーゲームの対象者になる。でも俺もその覚悟でオカンと一緒に行こうって思ってた。嫌な思いするよりずっとええし」
この場の空気を暗くしないように明るく、康二は話を続ける。
決して、聞いてて気持ちのいい話とは言えない。首都の胸糞悪い部分が垣間見える話だ。けど俺にこの話してくれるってことは、自分のことを信用して欲しいってことなんだと思う。
「でもな、ふっかさんがそれを止めてくれてん」
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