第五話 ページ7
ーーどんぶらこっこ、どんぶらこっこ。太宰治は川を流れていきました。
アナウンスが脳内で放送されている間にも太宰さんは順調に川を流れていく。
ピー、ピー、バサバサバサバサと烏に襲われ、盛大な水飛沫まで上がっている。
隣の敦君が冷や汗を垂らし乍らも地面を蹴り、「ええい！」と気合を入れて飛び込んだ。
僕は姿勢を整え、頭から飛び込むというパフォーマンスを誰も見ていない中繰り広げていた。
敦「ゲホッゲホッ」
『嗚呼、全身が濡れた。風邪引いちゃうよ。僕の上着貸してあげようか？』
敦「き、君が寒いでしょ？ 着てた方が良いよ……」
『君、本当に良い人だねぇ』
知ってたけど。
何度か咳き込む敦君を観察していると、傍らの青年がパチッと目を覚まし、真顔かつ機械的な動きで上半身を起こした。
敦「うおっ！」
キョロキョロ辺りを見回した後、太宰さんが最初に頭ごと視線を向けたのは敦君。
敦「あ、あんた、川に流されてて……大丈夫？」
太宰「ーー助かったか。………………ちぇっ」
敦(「ちぇっ」つったかこの人！？)
貴重な太宰さんの「ちぇっ」と二人の掛け合いを見られただけで僕は満足だ、生き返ったばっかりだけど死んでも良い。
気怠げに敦君の方に体を向け、太宰さんは人差し指を立てた。
太宰「君かい、私の入水を邪魔したのは」
敦「邪魔なんて！ 僕はただ助けようとーー入水？」
太宰「知らんかね、入水。つまり自 殺だよ」
敦君は驚愕を前面に押し出して「は？」と呟く。それに対し太宰さんは意気消沈したように俯くだけだ。
太宰「私は自 殺しようとしていたのだ。それを君が余計なことをーー」
やれやれと頭に手をやっているが、僕は空気か何かなのだろうか？存在感がない？……そっか……。
敦「は……はあ(あれ？ 僕、いま怒られてる？)」
解せない表情の敦君を置いて太宰さんはブツブツと文句を一通り云った後もう一度此方に向き直った。そして、出番を待ちに待ち続けていた僕と目が合う。
キラリ。鳶色の瞳が輝く。
太宰「此れは此れは美しい御嬢さん！ 私と心中なんて如何でしょうか！」
それに対する僕の答えはーー
『え、土下座して良いですか』
しまった、太宰さんが神々し過ぎて口が滑った。
僕の(ある意味で)爆弾発言に云われた本人である太宰さんだけでなく、敦君まで口を半開きにしている。二人は同時にこう云った。
敦・太「……は？」
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三日月ピエロ(プロフ) - (名前)さん» マジですか！！ありがとうございます！これからもどうか土下座女をよろしくお願いしますね！！ (2019年4月28日 22時) (
レス) id: 506de80960 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 三日月ピエロさん» はい！先ほど全部読みました！！ (2019年4月28日 20時) (レス) id: 192730a35f (このIDを非表示/違反報告)
三日月ピエロ(プロフ) - (名前)さん» ちゃんと細かい所まで読んでくださってありがとうございます！続編も出来れば楽しんで下さいね^^ (2019年4月28日 20時) (レス) id: 506de80960 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 三日月ピエロさん» あそうなんですね。 (2019年4月28日 18時) (レス) id: 192730a35f (このIDを非表示/違反報告)
三日月ピエロ(プロフ) - (名前)さん» 分かりずらくてすみません！！実はそういうネタがあってですね……その後に主が所望している「そうなりよ」と続けるまでがワンセットのようなネタがあるんです！ (2019年4月28日 8時) (レス) id: 506de80960 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三日月ピエロ | 作成日時：2018年5月13日 13時
