第四十一話 ページ43
ぱしゃん、と飛び上がった血飛沫が地面に落ち、赤い染みを幾つも作る。体が傾いだ。倒れ込む前に手を着いて片膝を付く。
『………、ぐ』
今は感覚が麻痺している。だが、その内体中が危険信号を発し痛みに藻掻き喘ぐ事になるだろう。荒い息を零し、前を見据える。
敦「ーーぎっ
ぎゃあああああああああ！！！！！」
敦君の悲鳴が響く中で、目を瞑っていた芥川さんは何故かちらりと僕の方を盗み見た。
少年の泣き声に答えるのは冷たい声。その声はただ、泣くのを止めろと命令する。
ーー餓鬼め！
それだけでは飽き足らず、大人の手が少年の頬を打った。それにまた、泣き声を上げる少年に掛けられたのは……慰めの言葉では無く、暴力的な言葉だ。
ーー栓無く泣いて許されるのは、負うてくれる親のある児のみ！
親にも捨てられたような餓鬼に、泣く資格など無い！
ーーそうだ……。僕はずっと見捨てられ乍ら生きてきた。
その光景を、諦めたような目の青年が見つめている。
しかし、その目に光が……希望が、灯る。
ーーそれでも僕はーー
小枝を踏むような、微かな音に反応する芥川さん。踵を返そうとしていたが、その先にある彼の姿に足が止まる。
芥川「何ッ……」
壁が、正確には彼の手が力強く握りしめた部分がミシリと音を立てる。顔には虎の模様が迸り、徐々に体が変化していく。何かを食い散らすような音の中、狗は密やかに呟いた。
芥川「そうこなくては」
紫と黄色が混ざる事なく混同した瞳を持つ虎が、爪と牙を剥いて芥川さんに襲いかかった。
『羅生門』
同時に、黒い獣が虎の後ろ脚近く……脇腹部分に噛み付いた。しかし、虎は事も無げに地面に降り立つ。傷付いた部分が煙を上げ、ぼこぼこと音を立てて元通りに戻る様を見、芥川さんは驚愕する様子を見せた。
芥川「再生能力！しかも之程の高速でーー！」
樋口「芥川先輩！」
芥川「退がっていろ樋口。お前では手に負えぬ」
進言を遮られ、樋口さんは動きを止める。足手まといに思われたように感じますよね分かります。僕とお仲間ですね……？僕も今手持ち無沙汰で実に暇いえ何でもないです！
虎はその逞しい脚をもってして芥川さんを追い詰める。疾い、と口にする芥川さんは外套を蜘蛛の巣状に展開させて攻撃を防ごうと試みた。だが、虎の攻撃の威力は桁違い。壁に叩きつけられ、壁諸共崩壊する。
肺の空気を吐き出し呻く芥川さんに、樋口さんが銃を掴んだ。
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三日月ピエロ(プロフ) - (名前)さん» マジですか！！ありがとうございます！これからもどうか土下座女をよろしくお願いしますね！！ (2019年4月28日 22時) (
レス) id: 506de80960 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 三日月ピエロさん» はい！先ほど全部読みました！！ (2019年4月28日 20時) (レス) id: 192730a35f (このIDを非表示/違反報告)
三日月ピエロ(プロフ) - (名前)さん» ちゃんと細かい所まで読んでくださってありがとうございます！続編も出来れば楽しんで下さいね^^ (2019年4月28日 20時) (レス) id: 506de80960 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 三日月ピエロさん» あそうなんですね。 (2019年4月28日 18時) (レス) id: 192730a35f (このIDを非表示/違反報告)
三日月ピエロ(プロフ) - (名前)さん» 分かりずらくてすみません！！実はそういうネタがあってですね……その後に主が所望している「そうなりよ」と続けるまでがワンセットのようなネタがあるんです！ (2019年4月28日 8時) (レス) id: 506de80960 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三日月ピエロ | 作成日時：2018年5月13日 13時
