第７話 ページ9
第７話
夏休みが明け、２学期が始まった。
日中はまだまだ暑い。
なのに今日は体育の授業で市街地を使った男女共同マラソンがあり、生徒達は怠そうな面持ちでグラウンドに集まっていた。
ああ、日陰でアイスが食べたい。そう思いながら私は涼しい顔でいる。どんな状況でも顔色ひとつ変えず満点の成績を出すのが、我が鳳憑家の使命だから。
本当に、どうしてあんな家の娘に生まれてしまったんだか。周りからの憧れの眼差しが強くなればなる程、そんな事を思ってしまう。
私は天才なんかじゃない。
他の人より早く
他の人より多く
他の人より覚悟を持って
ただ努力してきただけ
天才なんて、そうポンポンといるもんじゃない。私が天才だなんてよばれているのは、そういう風に見えるようにしてきたから。
ただ努力を隠し、結果だけを見せてきたから。
世の中天才と呼ばれている人間の殆どは、結果を出すまでの過程……努力を見られなかったからよ。
「おい、腹黒女」
そんな事を考えていると、横から声をかけられる。
爆豪勝己。
彼もまた、将来有望とされている１人。
「てめぇには負けねぇ。俺が１位になる」
「…………期待しているわ」
そう笑い返すと彼はどこかへ行ってしまう。
負けるつもりはないけれど
私に唯一対抗してこようとする彼に
少しだけ興味はあった。
暇潰し程度の
小さな小さな興味。
「じゃあ、位置について〜……」
ちょっと大差をつければ
どうせ直ぐに諦めるだろう
「……よ〜い」
パァンッとスターターピストルが開始の合図を鳴り響かせた。いっせいに走り出す生徒の間を縫うように避けていきながら、１人また１人と抜かしていく。
ものの数分でトップに出ると、そこから更に他の生徒と差を広げるために走る速度を上げた。
「待てやクソ女ぁ！！！」
１人だけ、着いてくる男がいるけれど。
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mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (
レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
晏(プロフ) - この作品が好きすぎて、何度も見直しています！ 感動しすぎてこれを読む時は、ティッシュが必ず横に置いてあります。 (2021年3月17日 0時) (レス) id: 440a1ef8ed (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅(プロフ) - 感動です...あれっ、足元に大量のテェィッシュが...笑。素敵な文章ですね！こんな文章が書けるようになりたいです。これからも、応援しています！ (2020年1月30日 21時) (レス) id: 349b1bb88e (このIDを非表示/違反報告)
みゅーう - めっちゃ感動しました。ボロ泣きしました。素敵な作品を書いて頂きありがとうございます！ (2019年7月22日 1時) (レス) id: b0c04a8a2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2017年12月15日 7時
