第５話 ページ7
第５話
俺が初めてあの女に会ったのは、中学１年の頃。
中学に入学してもうすぐ夏休み。
だがその前に俺達には期末テストがあった。周りが頭を抱え現実逃避していても、俺には関係ない。
勉強なんて授業聞いてりゃ分かるし、中学でもどうせ学年トップはこの俺だ。
だと、思ってたのに。
【期末テスト１年生順位】
１位 鳳憑A
２位 爆豪勝己
廊下に張り出されたランキングには俺の名前の上に、知らない女の名前があった。
俺が、２位…？
俺より上が居るのか？
その時はただの興味本位だった。
どうせ１位のやつなんてただのガリ勉モブ女だ。俺は運動も出来るし個性も派手。総合的に学年トップは俺なんだよ。
【体力テスト１年生順位】
１位 鳳憑A
２位 爆豪勝己
「ぁ……ありえねぇ」
どっちも俺より上？
女に、負けた？
もうその目で確かめられずにはいられなかった。鳳憑A、いったいどんな奴だっていうんだ。
そして見つけた。
誰もいない屋上で、じっと校庭の方を見る女。俺には気付いてねぇみたいだ。
何となくそいつと同じ方を見てみると、校庭に３年生の不良グループがいた。そいつらは物陰に隠れているが、屋上からはよく見える。
目を凝らして見てみると、不良グループから微かに煙のようなものが上がる。あれは……煙草？
中学生で煙草かよ。しかもわざわざ学校で吸うなんて見つけて下さいって言ってるようなもんだ。不良ごっこかよ、ダッセ。
すると、鳳憑は携帯を取り出し電話をし始める。
「もしもし？あの〜、おたくの生徒が校庭で煙草を吸ってるのが見えるんですが」
こいつ、なにして…。
電話を切るとものの数秒で不良グループのところに教師が走って駆けつけてきた。慌てる不良グループと怒鳴り散らす教師。
騒ぐ声が屋上まで聞こえてくる。
「…………ざまあみろ」
風がふき鳳憑の長い髪が揺れ、俺の角度から顔が見えた。小学生上がりの、まだあどけない顔。
その顔に似つかわしくない、腹黒い笑み。
「……おい」
「！？」
声をかけると、驚いたようにこっちに振り向いた。正面から見ると余計に幼く見える。この顔で、その歳であの腹黒い笑みが出来るのかよ。
「いつから……」
「電話する前くらい」
少し間を置き「……そう」と答えたコイツは、胡散臭い笑みで近付いてくる。
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mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (
レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
晏(プロフ) - この作品が好きすぎて、何度も見直しています！ 感動しすぎてこれを読む時は、ティッシュが必ず横に置いてあります。 (2021年3月17日 0時) (レス) id: 440a1ef8ed (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅(プロフ) - 感動です...あれっ、足元に大量のテェィッシュが...笑。素敵な文章ですね！こんな文章が書けるようになりたいです。これからも、応援しています！ (2020年1月30日 21時) (レス) id: 349b1bb88e (このIDを非表示/違反報告)
みゅーう - めっちゃ感動しました。ボロ泣きしました。素敵な作品を書いて頂きありがとうございます！ (2019年7月22日 1時) (レス) id: b0c04a8a2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2017年12月15日 7時
