第30話 ページ33
第30話
職場体験が始まり、爆豪勝己は毎日イライラしながら帰ってくるようになった。ピッチリとひた七三分けに思わず笑うと、彼は髪をガシガシと崩しながら怒鳴ってくる。
それからもう一つ。
前までは弄る目的で「ねえ、勝己」と呼ぶと「気安く名前で呼んでんじゃねぇ！！」そう怒っていたのに最近は怒らない。しつこいから流石に諦めたのか。
ちょっと面白くないから、次は「かっちゃん」って呼んでみようかしら。
それにしても、退屈ね。
職場体験には流石に同行出来ないから毎日お留守。お家の方の手伝いが出来ればいいんだけれど、疲れるから数回しか物に触れられない私じゃ、手伝いも出来ない。
「………散歩、でもしてみようかしら」
スゥ…と壁を通り抜け外に出る。すると見覚えのある人物が目に入った。
………思わぬビックゲストね。
「こんにちは、オールマイト」
「！？君は確か……」
「鳳憑Aです。授業ではたまにお会いしますが、面と向かってお話するのは初めてですね」
笑顔でそう言うとオールマイトは「そうだね。けど、すまない。少し急いでいるんだ……じゃあまた！！」と高く高くジャンプする。
あれはもはや飛んでいるようなものね。
けれど、私の勝ちね。
彼が飛ぶ瞬間、私はオールマイトの肩に触れた。
私は幽霊なのよ、オールマイト。
＊＊＊
「ふう……ギリギリだったな」
「私に見られるのが？」
「ッ！！！？」
誰もいないビルの屋上。到着した瞬間にオールマイトは蒸気を放ちながら筋肉質だった体は萎み、まるで骸骨のような痩せ細った姿になった。
驚きに目を見開くオールマイトの前に姿を現す。
「ごめんなさい、見てしまったわ」
「なんで君がここに……」
「私は幽霊よ、オールマイト。人に憑くことが出来るんだから……憑いた人間の速さとかは関係ないの」
ニコリと笑うとオールマイトが深い溜め息を吐く。
彼の姿に驚かなかったと言えば嘘になる。けれど、生ける伝説……平和の象徴と謳われる彼が何の裏事情もないなんて有り得ない。
「大丈夫よ、誰にも言わないわ」
教職員の前ではどうなのか知らないけど、マスコミや他の生徒の前でその姿を見せないってことは、バレたくないことなんでしょう。
必死に隠していることを、バラそうなんて流石に思わない。
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mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (
レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
晏(プロフ) - この作品が好きすぎて、何度も見直しています！ 感動しすぎてこれを読む時は、ティッシュが必ず横に置いてあります。 (2021年3月17日 0時) (レス) id: 440a1ef8ed (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅(プロフ) - 感動です...あれっ、足元に大量のテェィッシュが...笑。素敵な文章ですね！こんな文章が書けるようになりたいです。これからも、応援しています！ (2020年1月30日 21時) (レス) id: 349b1bb88e (このIDを非表示/違反報告)
みゅーう - めっちゃ感動しました。ボロ泣きしました。素敵な作品を書いて頂きありがとうございます！ (2019年7月22日 1時) (レス) id: b0c04a8a2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2017年12月15日 7時
