第16話 ページ18
第16話
目を覚ますと、カーテンから差し込む朝日が目に入り眩してくて顔を歪める。チュンチュンッと鳴き喚く鳥の声が鬱陶しい。
クソッ、胸くそ悪い夢を見た。
あれからもう２ヶ月が立ち俺は雄英にも通っている。毎日忙しいってのに、まだこんな夢を見ちまうくらい根に持ってんのか……俺は。
「…………アイツのせいだ」
胸元の服をギュッと掴み体を起こす。
出来ねぇ約束なんかするから。
事故なんて、ふざけた死に方しやがるから。
「早くしないと学校遅刻するわよ」
「るせぇよ分かって………」
声、誰の？
だってこの部屋には俺しかいない。
つうか今、布団の中から
バッと勢いよく布団をめくる。
長い黒髪
中学のセーラー服
胡散臭い…笑い方
「おはよう、ダーリン」
「………は？」
見間違える筈もない。
目の前にいるのはまさに、鳳憑A。
「な……ななな何でてめぇが！！！」
「あはは、サプライズ。びっくりした？」
「はあ！！？」
間違いない、鳳憑Aだ。
でも……てめぇは
「２ヶ月前に死んだはずじゃ…」
「ええ、死んだわよ」
ほら、と自分の足元を指差す。
透けた足。
なんだこれ、まるで
「幽霊なのよ」
人を見透かしたような言い方。
やっぱりコイツは！！
幽霊ってなんだ、そんなもんいるわけねぇのに……そうじゃなきゃ状況に辻褄が合わねぇ！！
「んだよ、夢か……？」
「夢じゃないわ。これが私の個性だもの」
「……個性？」
「そう。死んだ後、幽霊になる個性」
頭の整理が追いつかない。
幽霊になる個性なんて聞いたことねぇよ！！
ゆっくりと手を伸ばしコイツに触れようとすると、俺の手はコイツの身体をすり抜ける。まるで感覚がない。触れない……？
呆然と突っ立ったままの俺に鳳憑がズイッと近づく。
青白い肌、生気のない赤眼。
化粧してんのか、目尻と唇が赤い。
前と同じなのに
知らねぇ奴みたいだ。
それくらい
正気というものが感じられない。
「あなたとの約束を、果たしに来たわ」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 765人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (
レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
晏(プロフ) - この作品が好きすぎて、何度も見直しています！ 感動しすぎてこれを読む時は、ティッシュが必ず横に置いてあります。 (2021年3月17日 0時) (レス) id: 440a1ef8ed (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅(プロフ) - 感動です...あれっ、足元に大量のテェィッシュが...笑。素敵な文章ですね！こんな文章が書けるようになりたいです。これからも、応援しています！ (2020年1月30日 21時) (レス) id: 349b1bb88e (このIDを非表示/違反報告)
みゅーう - めっちゃ感動しました。ボロ泣きしました。素敵な作品を書いて頂きありがとうございます！ (2019年7月22日 1時) (レス) id: b0c04a8a2c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2017年12月15日 7時
