第13話(挿絵付き) ページ15
第13話
しんしんと。
優雅に降る雪が
肌にあたっては溶けて消える。
冷てぇよ、馬鹿が。
なんとなく心の中で雪に文句でも言ってみた。
今日で二学期も終わり、明日から冬休みになる。終業式を終えて続々と生徒が帰る中、俺は１人屋上で待っていた。
あの女を、鳳憑Aを待っていた。
人気のない所がよかったから、誰も来ねぇ屋上にしたけどやっぱり寒い。早く来いやアイツ…。
ガチャッと屋上のドアが開く。
「全く、こんな寒い所に呼び出すなんて……私が来なかったらアナタどうしたのよ」
鳳憑は呆れた顔でそう言った。
「それで、何の用かしら？」
こんな物で呼び出して、と俺が鳳憑の机に置いておいた小さな紙を取り出す。『屋上に来い』たったそれだけで、差出人の名前も書いてないのにコイツは来た。
どうせ差出人が俺ってことも分かってたんだろ。
「二学期も今日で終わりだ。そろそろ、俺と勝負しろ」
「やっぱりそれなのね」
個性の使用が禁じられている中学では、まともに勝負することなんて出来ない。制限のつけられた順位なんかじゃなく、真っ向からコイツを叩き潰す。
そうじゃなきゃ俺のモヤモヤが消えねぇ。
「ヒーロー志望がそんなに好戦的でいいのかしら？」
「心配されなくても雄英にだって楽勝で受かんだよ」
「……………雄英、ね」
そう言って空を見上げる。
俺もつられて空を見上げてしまった。
風のない今日は雪がゆっくりと降っているように見える。この季節…日が沈むのが早いせいで辺りは暗く、放課後だっていうのに何故か静かだ。
なんつうか、まるで……
「────……まるで、マリンスノーみたいね」
「！！！？」
深海に降る雪。
深い深い静かな海の中、プランクトンの遺骸とかが分解や結合して白い屑になり降る。
水の中だからその落ちる様はゆっくりで雪のようだと、それでマリンスノーと呼ばれていた。
鳳憑はフッと笑い、赤い目で俺を見る。
「もしかして同じこと、考えてた？」
「っ………違ぇよ！」
.
.
「雄英を１位で合格してみなさい。その時は、どんな形であれ勝負を受けましょう」
……雄英を、１位で合格。
「逃げんじゃねぇぞ」
「ええ、約束は守るわ」
やってやるよ。
１位で合格、はなからそのつもりだ。
.
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mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (
レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
晏(プロフ) - この作品が好きすぎて、何度も見直しています！ 感動しすぎてこれを読む時は、ティッシュが必ず横に置いてあります。 (2021年3月17日 0時) (レス) id: 440a1ef8ed (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅(プロフ) - 感動です...あれっ、足元に大量のテェィッシュが...笑。素敵な文章ですね！こんな文章が書けるようになりたいです。これからも、応援しています！ (2020年1月30日 21時) (レス) id: 349b1bb88e (このIDを非表示/違反報告)
みゅーう - めっちゃ感動しました。ボロ泣きしました。素敵な作品を書いて頂きありがとうございます！ (2019年7月22日 1時) (レス) id: b0c04a8a2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2017年12月15日 7時
