7 い ページ8
レオナが詠唱し始めると、男は顔を真っ青にした。人間すら干からびさせる砂の魔法。その恐ろしさは王宮の人間誰もが知っている。
「も！申し訳ありませんレオナ様！！どうかお許しを！女からは手を引きますので！！」
謝っても、レオナは詠唱をやめなかった。
金色の光が手の中に集まり、収縮していく。それと共にレオナは男に近づいて行った。
「やめろ！！やめてくれ！！」
男の目から涙があふれる。
たった1回の過ちで、俺は死ぬのか？
第二王子の遊び相手に話しかけ、触れただけで俺は砂にかえられる。この王子に慈悲などないんだ。こいつは、化け物。気味が悪い。
「ぐぁああっつう！！……ぎゃああっつ」
「………俺に学問を教える教師がこんなていたらくとは笑わせるぜ。とっとと失せろ」
男の首をつかみ、そのまま王宮の廊下まで男をひきずりだす。そして遠くへ投げ飛ばした。
男はヒューヒューとかすれた息づかいでレオナのことを睨むとそそくさと逃げていった。
「………逃げたか。根性のねぇやつだ。おい、ルーナ怪我はしてねぇだろうな？」
座り込んで俺の事を呆然と見つめているルーナに手を差し伸べて起こしてやる。
掴まれた手は、少し力を加えれば折れてしまうのではないかと思うほどか弱かった。
部屋が暗くて顔はよく見えないが、見知らぬ男に襲われて怯えた顔をしているに違いない。それに、俺の砂魔法を見て怖いと思っただろう。
この女には魔法を見せるつもりはなかった。いつもこの魔法で俺に関わるヤツら全員を怖がらせてきたから。
俺に触れば、砂になる。なんて、くだらねェ噂もたったもんだ。だから俺は、生まれてきた時からずっと一人だった。
陽の当たる廊下にルーナを連れる。
そこで初めて、用意した服で着飾ったルーナを見た。――――――なんだこの女は？
あの男がこいつに一目惚れした気持ちがよく分かる気がする。一言で表現するならば、ルーナは夜空に浮かぶ静かな月だった。
『………レオナ様。どうかされましたか？』
「………いや、なんでもねぇ。帰るぞ」
『はい。わかりました』
それから、廊下で俺たちは少し会話をした。
「砂の魔法は初めて見ただろ」
『はい。レオナ様のユニーク魔法ですか？』
「そうとも言えるが、あれは生まれつきだ」
『……羨ましいです』
「羨ましい？はっ、干ばつを嫌うこの国では異端の魔法だぞ。慰めはいらねェ」
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華麟(プロフ) - オレオレオさん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。 (2020年12月15日 22時) (
レス) id: 75feb1bede (このIDを非表示/違反報告)
オレオレオ - すみません、21話が更新されないまま22話が更新されてるんですけど、これはこっちの問題なんでしょうか？ (2020年12月15日 18時) (レス) id: ba06124240 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - え、めっちゃ続き気になります！カリム達と出会ってるからルーナも行くのかな？NRC、 (2020年12月11日 16時) (レス) id: 1fc8fa02db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Estel | 作成日時：2020年12月5日 23時
